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  3. 2020.01.21
 
イラン攻撃するな
中東派兵中止を
世界で「戦争反対」の声
 米軍がイラク国内で年明けの3日、イラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官を殺害する暴挙に出た。国際法や国連憲章に違反する先制攻撃だ。安倍政権は緊迫する中東への派兵を閣議決定、河野太郎防衛相は10日、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機に中東海域への派遣命令を出した。

 イランでは司令官殺害に国民の猛烈な反発と報復感情が沸き起こり、イラン政府は8日、「米軍の攻撃に対応する範囲」として、イラク国内の米軍基地2カ所を弾道ミサイル十数発で報復攻撃した。

 その後、司令官殺害直後は強気だったトランプ大統領が、全面衝突回避の姿勢に転じたが、これで双方の攻撃が終わるかは全く予断を許さない。

 問題は安倍内閣だ。中東情勢は、自衛隊の派遣を決めた閣議決定時(12月27日)と大きく変わり、戦争の危機がますます高まってきている。安倍首相は予定していた中東歴訪を一時は中止する方向だったが、トランプ大統領が全面衝突回避の姿勢に転じたことで、予定通り訪問することを決めた。

 また、安倍政権がトランプ政権の暴挙を批判しないで、外交努力を求めるだけではすまされない。米軍支援の自衛隊派遣だと世界から受け止められ、平和国家日本の評価は地に落ちる。閣議決定を取り消すべきだ。

 米国ではベトナム戦争以来といわれる反戦デモが沸き起こり、イラク議会は米軍の国内からの撤退(米軍を含むすべての外国軍)を決議した。

 日本国内でも、東京・赤坂の米大使館前で3日、戦争反対のアピール行動が取り組まれ、6日には作家の髙村薫さんら「世界平和アピール七人委員会」が、米軍によるイラン司令官の殺害を非難する声明を発表した。

 さらに8日には野党の国対委員長が会談し、一致して自衛隊派遣撤回を求めることを決めた。それに続いて同日、総がかり行動実行委員会は都内新宿駅前で緊急街頭宣伝を行い、多くの市民や労働組合員が、「戦争するな!」などのポテッカーを掲げて集まった。

 街頭宣伝では、戦争をさせない1000人委員会の藤本泰成さんが主催者挨拶、続いて共産、立憲の国会議員、さらに市民4人が様々な立場から戦争反対・派遣中止を訴えた。