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  3. 2020.02.11
 
安保改定からの60年
対米追従さらに強め 戦争への道歩む日本

 海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が2月2日、中東に向けて横須賀港を出港した。先月19日は日米安保条約改定から60年。式典で安倍首相は「今や日米安保条約は、いつの時代にも増して不滅の柱。アジアとインド・太平洋、世界の平和を守り、繁栄を保証する不動の柱だ」と語った。しかし、この60年、日米安保条約は大きく変質し、日本政府は米国の思うままに戦争への道を歩んできた。

 この間、政府は国内向けに体の良い言葉で説明しながら米国と密約と協定を交わし、その矛盾を本土から見えにくい沖縄県に集中させてきた。占領時同様の米軍の日本における権限行使を受け継いだ旧安保条約と、それに基づく行政協定(日米地位協定)はそのまま引き継がれた。

 日本政府と最高裁は1959年、卑屈にも日米安保条約の違憲性を日米合作の「統治行為論」でまやかし、法的判断を放棄した。

 日米安保条約は前文と実質7条(全10条)からなる。その前文でふれられ、第1条に規定される「国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎む」とあるのを、今回の自衛隊の中東派兵は飛び越えた。国連重視から本音の対米重視への転換だ。

 もちろん、第6条の「極東条項」は無限定となり、在日米軍はベトナム戦争であれ、イラク戦争であれ、堂々と出撃した。他方、第5条に規定された米軍の日本防衛義務は事実上なきに等しい。

 在日米軍約5万5千人のうち、それぞれ約2万人の海軍と海兵隊は年間の半分をインド太平洋に遠征し、「日本防衛」に就いていない。1万2千人余の空軍の防空任務はすでに自衛隊に移管されている。約2600人の陸軍には戦闘兵はいない。

 日本国内に78もの米軍専用基地を置かせ、膨大な税金を貢いでも、それは日本の防衛ではなく世界覇権の侵略拠点となっている。その上で、安倍首相が言う「地球儀を俯瞰する外交」は、「地球規模の日米軍事同盟」としか言いようがない。

 治外法権と裁判権を放棄した日米地位協定の改定も、政府は認めない。憲法改定を党是とする自民党は、立党時の政綱の第6項に改憲と「駐留外国軍隊の撤退」を置いた。改憲と自衛隊の強化、そして集団的自衛権を行使しようという安倍首相の野望は、自らの党政綱にも背いているのではないか。

 そして安保条約第2条にある経済条項が、TPPや米国がそこから離れての日米貿易協定で、日本の国民経済を破壊しようとしている。安保条約を破棄し、平和友好協定を結ぶしかない。