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  3. 2020.07.14
 
コロナ渦の不安を無視
府市合わせはフシアワセだ  ~大阪都構想~  

11月住民投票で否決を

 「大阪都構想」に執念を燃やす大阪維新の会は619日、大阪市を廃止して4つの特別区に分割する制度案を大阪府・市の法定協議会で可決した。コロナ禍の不安と混乱の中での強行だ。11月に予定される住民投票で市廃止をやめさせよう。

 大阪府・市一体の都構想は大阪維新の会の一枚看板。府・市両議会で否決されながら、その後公明党を巻き込んで住民投票を15年5月に行ったが、僅差で否決された。

 

 しかし、大阪で圧倒的な強さを維持する大阪維新の会は昨年、知事と市長が辞職して相互に入れ替わるダブルクロス戦に出て圧勝。再び市廃止・4特別区設置の制度案を成立させた。9月の府・市両議会の可決を経て住民投票に付される。


 狙いは、政令指定都市中トップの大阪市の財源を大阪府に吸い上げ、成長戦略を利用することだ。その成長戦略の目玉は未利用地が広がる人工島、夢洲(ゆめしま)で開く25年の大阪関西万博と、同時開設を目論むカジノを含む統合型リゾート構想だ。
巨大公共事業投資は大阪府の財源を集中させ、府内自治体のサービス低下にもつながる。

 まして、カジノは「府市合わせ=ふしあわせ」を招くだけ。日本進出を期していた米国のカジノ大手サンズは、中止を決めた。背景にはコロナ感染蔓延で人の動きは回復しないとの見立てがあろう。

 にもかかわらず、今回決定された大阪市廃止・分割構想は新型コロナ感染による市民の困難・経済の落ち込みを考慮していない。大阪市の持つ1300億円の財政調整基金(6月現在)は、今こそ市民の生活と健康保持に使われるべきだ。