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  3. 2020.07.28
 
公平な税制で ~貧困あってはならない社会的な合意を~
人権守る財源                  

  新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中で貧困が進む。この社会では、経済成長の恩恵のほとんどが最富裕層の手にわたっている。国連人権理事会のオリビエ・デシュッター氏極度の貧困と人権特別報告者は77日、貧困や不平等から人権を守る社会保障政策に必要な予算の確保には、税の公平が重要との報告書を同理事会に提出した。

 
日本は、貧困の最終セーフティネットである生活保護受給のハードルは高い。その上、安倍政権は13年から15年にかけて恣意的なデータを使って生活扶助費を約670億円も削減した。それを不当と訴えた裁判も、名古屋地裁で敗訴した。

 また、失業手当は受給期間が短く、非正規労働者など短期間雇用の労働者に厳しいため先進国中、受給率は最低ランク。ILO09年報告では失業者で失業手当を受けていない割合はドイツ6%、フランス45%だが、日本は77%にのぼる。

 このように、公的扶助でも、社会保険でも救われない貧困層も自己責任論で追い込まれている。貧困は社会にあってはならないという社会的合意が必要だ。所得における不公正を放置するのではなく、税による再分配を促進し、安心と希望の社会に転換をはからなくてはならない。

 その財源は、庶民増税と大企業・富裕層の減税を推進してきた消費税を減税し、法人税や所得税の税率を消費税導入前に戻すことで生み出せる。

 過渡的、緊急対応は国債発行で対応するしかない。今回の2度のコロナ対策の政府補正予算でも、57.6兆円の新規国債を発行している。解散・総選挙に備えて、税制を含めた野党と市民の共同政策の合意が必要だ。