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2014.01.14
新安保戦略(上)
止めよう積極的戦争主義


 安倍内閣は1217日、「国家安全保障戦略」「防衛大綱」「中期防」を閣議決定した。いずれも積極的平和主義≠掲げるが、集団的自衛権の行使を見据え、露骨に対中国戦闘態勢を強調した戦争できる国づくり≠フ宣言だ。

 

 

 安倍首相は前臨時国会で、国家安全保障会議設置法と特定秘密保護法を強行成立させたが、続いて「国家安保戦略」と「防衛大綱」、「中期防」の3方針を閣議で決定した。



 
平和と真逆の代物

 

 「国家安保戦略」は、国際協調主義に基づく積極的平和主義≠フ言葉を多くちりばめているが、内容は、国際社会における発言力を強めるために軍事力を強化し、その海外展開を図り、アジアではとりわけ対中国の軍事的布陣を強め、米国を盟主とした多国間軍事同盟の構築をめざすという、およそ平和とは逆の積極的戦争主義≠ニも言うべき代物だ。

 「戦略」は、主権・独立の維持、領域保全、国民の生命・身体・財産の安全確保を「国益」と定義している。

 だが内実は、在日米軍との一体化と沖縄への基地押し付け、近隣諸国との挑発的軋轢、被災者支援より公共事業と大企業を優先、原発の再稼働と輸出促進、TPPの推進などではないか。

 「戦略」は、安保環境の課題として、新興国によるパワーバランスの変化や国際テロ、海洋、宇宙、サイバー空間などのリスク、個人の生存と尊厳の危機、グローバル経済のリスクなどを挙げる。しかし、それらが「国益主義」の衝突とグローバル資本主義自体によるとの認識はなく、力による対処が基調になっている。



 
内外への軍事展開

 

 こうして戦略目標は、@抑止力強化、A「日米同盟」と諸外国との「実際的な安保協力推進」、B「グローバル安保への貢献」となる。

 つまり、日米同盟を軸とした先進国優位の力の均衡を維持するため、@対中戦闘能力を強化し、宇宙やサイバー空間、人的な諜報能力を高め、A日米軍事一体化と日米韓、日米豪、日欧などの軍事協力体制を構築し、その枠組みを世界各国に拡げ、B武器輸出・共同開発を拡大、C安保理常任理事国入りなどをめざし、ODAも安保に組み込むという。



 
社会を全面軍事化


 また、これを支える技術力と人材確保への「産学官の有効活用」、海外での自衛隊の活動や情報収集へのNGO利用、さらに愛国心の涵養≠ニ基地周辺の住民の協力確保、高等教育での安保教育の拡充などを列挙している。

 日本の経済・社会・思想から市民・住民の安保協力まで、日本社会の全面的軍事化をめざしているのである。

 特定秘密保護法の強行制定をはじめ教育制度や教科書の改悪、英霊を尊崇≠キる靖国参拝、そして集団的自衛権行使容認論も、この「戦略」と不離一体なのである。


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