戦後70年の新年が明けた。それは憲法に基づく戦後民主主義を否定する安倍晋三政権が、新たに4年間のフリーハンドを得たと受けとめられている幕開けの年である。改憲派はすでに本心を隠そうとしない。問われているのは私たちだ。
安倍政権は、本当に4年間のフリーハンドを得たのであろうか。断じて否である。政権2年で貧困と格差拡大が露わになり、アベノミクスが何をもたらすのかが明らかになった。
すでに矛盾が集中する地方の選挙では、昨年夏から秋にかけて滋賀、福島、沖縄の各県知事選にその兆候が出ていた。しかもこれらの選挙は集団的自衛権、原発、米軍基地問題と、いずれも国政絡みであった。だからこそ、これらのリセット選挙を12月に強行し、政権の延命と戦後レジームの転換を図ったのだ。
国民の思いと逆
安倍政権は国会の多数は維持したが、安定政権とはなりえない。事実、自民党は前回総選挙と比べて比例区での得票率を下げ、有権者全体の6人に1人から投票を得たに過ぎない。政権が優先する多国籍巨大資本の衝動は、需要が伸びない中では中小企業や労働者、さらには地方の主産業である農業など第一次産業を犠牲にして利潤の増大を図るしかない。そしてうまみをむさぼりつくすと簡単に撤退し、あとは野となれ山となれだ。
すでに国内では需要増を見込めないと判断し、市場の拡大が見込める海外に生産拠点を移しているではないか。しかもますます好戦的となり、有利な市場をめぐって戦争も辞さなくなる。
新社会党の課題
マスコミの多くは安倍政権の真実を語ろうとしない。国民の声を排除する小選挙区制と合わせ、主権者である国民の無力感と諦めを誘う。その行きつく先はファシズムと戦争への道であることを知っている新社会党には、休む日のない戦後70年の年となる。
通常国会に労働者の保護を取り払う労働法制改悪法案を出し、集団的自衛権を行使する法整備を図ろうとするのは政権の既定方針だ。中国や朝鮮半島との関係悪化は、安倍政権のもくろみを正当化するためには必須の道具である。
日本社会を根底から変えてしまうTPP交渉も何としても合意を図ろうと、手練手管を使うだろう。「百年の大計」を図る教育制度も大きく歪められようとしている。原発の再稼働も目前に迫り、再生可能エネルギーの芽はつぶされる。
これらに対する抵抗とその組織化を一人ひとりが強めなければならないし、統一自治体選挙は目前に迫っている。政治参加の実感とその効果を認識した国民は政治変革への道を諦めない。その体験の場である自治体政治に関わることなしに国政の指針に憲法を取り戻すことはできない。一つひとつの運動を大切にし、来年の参議院選挙の展望を切り開こう。
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