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2015.01.27
15年度予算案
庶民を犠牲に「強い国」めざす


 安倍首相は、中国の台頭に対峙した「強い日本」復活を推進しつつ、首相在任中の条文改憲を狙う。手法は、アベノミクス幻想を引き延ばし高い支持率を維持すること。15年の度政府予算案はこの目的に沿って策定されている。


 一般会計予算額96兆3420億円は、過去最大の当初予算であり、14年度補正予算案と合わせ3年連続の100兆円規模になった。景気落ち込みを防ぐための財政投入だ。


 消費税増税が支え


 税収最大の消費税は、通年で税率8%となるため昨年比1兆7730億円増の17兆1120億円に上る。法人税と所得税の増収も見込むが、共に消費税額を下回る。庶民負担を踏み台にした税収構造が恒常化する。
 歳入全体では「財政再建」を装う無理が目立つ。法人・所得税増収の前提は2・7%成長だが、国際機関予測はもっと低い。「その他収入」で約5兆円計上したが、隠れ財源もほぼ枯渇した。そもそも新規国債発行が36・9兆円、借換え債など総国債発行が170兆円と、財政再建にほど遠い。


 「強い経済」へ投入


 予算編成の基本方針には「強い経済は日本の国力の源泉」とある。統一地方選挙対策の「地方創生」分を含め、公共投資を中心に従来型の経済テコ入れが並ぶ。 ▽典型が「地域活性化」を掲げる新幹線建設への755億円投入だ。北海道・北陸新幹線では、延長区間の開業前倒しで35億円を増額した。また「国際競争力強化」を名目に、効率的物流ネットワーク整備に2379億円を充てる。 
 ▽科学技術イノベーションでは249億円を計上し、新規では産学官共同開発拠点「イノベーションハブ」を作る。「研究者向けの柔軟な給与・人事システム」を導入とするが、人材使い捨てでの成果は乏しい。「大国日本」に執着 同時に「大国日本」に執着する安倍政権の姿が際立つ。 
 ▽防衛関係予算は4兆9801億円、補正予算案を含め5兆円を超える過去最大規模だ。予定の軍事力行使諸法案と一対であり、対潜哨戒機P1、新早期警戒機E2Dなど最新高額武器の購入、さらに宇宙・サイバー空間対応費が並ぶ。 
 ▽地球儀俯瞰外交の強力推進も掲げ、資金を投入する。海外での日本研究支援等の対外発信の強化、6大使館新設等の外交実施体制の拡充、親日派・知日派育成等での外務省ODA増額などだ。


 貧困・不平等拡大


 他方で社会保障関係予算は、自然増を抑え込み1兆30億円増に止まった。介護報酬2・27%引き下げの影響は大きい。物価上昇の下で、年金生活者へ4月から物価スライド廃止が襲う。年金抑制額は40年勤務モデル世帯で月約3400円にもなる。円安も加わり、貧困、資産・所得不平等が拡大していく。15年度予算案に反対し、アベノミクス幻想を打ち破る行動を強めよう。

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