辺野古新基地問題を巡って、安倍政権による露骨な沖縄に対する民意無視・自治権侵害が続いている。翁長雄志新知事との面会拒否、沖縄振興予算は減額、一方で辺野古の現地では市民らの抗議を暴力的に排除し、工事を強行している。
安倍政権は、沖縄側との話合いもないまま、辺野古の海上工事を再開した。機動隊と海上保安庁による暴力的排除で、阻止行動の市民には負傷者や逮捕者も出た。
知事選と、続く総選挙、民意は明らかに辺野古ノー!だ。市民らの実力行使は当然の権利であり、主権者として義務ですらあるだろう。
政府は次年度沖縄振興予算を5年ぶりに削る一方で、辺野古新基地や自衛隊強化に関わる予算、米軍再編交付金等を大幅に増額した。
沖縄は優遇なのか
「基地がなくては食っていけない」「優遇されている」、そんな議論が本土ではいまだにまかり通っている。他県と違い、沖縄振興予算として内閣府が一括計上するため、そのような印象操作が生まれやすい。改めて簡単に整理しておく。
沖縄戦と米軍統治でインフラ整備が遅れたこと、離島県であること、米軍基地の74%が集中していること、この3点は政府自身が沖縄振興策の必要性として広報しているものだ。基地集中とは、既存の基地負担を指すのであって、辺野古新基地は別の話だ。
振興策の実際はどうか。国から地方への財政移転となる国庫支出金と地方交付税は、総額で全国17位、県人口1人当たりでも6位と突出しているわけではない(2012年決算)。
逆に、本来は国が予算措置すべき那覇空港第二滑走路や、鉄軌道導入に関するものが振興策に潜り込んでいる。また、復帰以降の振興予算の多くが本土資本へと環流し、沖縄経済の自立につながらなかった矛盾も、今日では県民の共通した認識となっている。
本土こそ学び直し
この1年、沖縄は政界も経済界も辺野古をテーマに必死で学んできた。「基地は経済発展の最大の阻害要因」「誇りある豊かさ」「沖縄の自己決定権」、これらはそのことを象徴する。
あからさまな政府の沖縄冷遇・翁長つぶしから、思い出すべき歴史がある。
かつて米占領下の1956年。那覇市長に当選した瀬長亀次郎氏に対し、占領軍は沖縄人民党員であることを理由に、琉球銀行からの補助金と融資の打切り、預金凍結を行った。この時、那覇市民は瀬長市長を支えるために自主的な納税運動を起こし、市役所には納税する市民の長蛇の列ができたという。納税率は97%にもなった。
国や地域も越え、沖縄を支え連帯する具体的行動が求められている。そのために知恵を出そう。辺野古新基地・集団的自衛権は中東の空へもつながっている。戦後70年となる今年を、今度は本土こそが学び直す年にしなければならない。
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