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2015.02.10
安倍政権の農協改革(上)
「改革」と言う名の解体論




 アベノミクス「第三の矢」の柱として農協「改革」を今国会の目玉とする安倍政権に全国農業協同組合中央会(JA全中)が反発、両者の対立が激化している。与党内の議論も沸騰しているが、問題の本質は、あるべき改革の方向は何か。


 政府は昨年春の規制改革会議で、「中央会制度の役割は終わった」と農協改革を農業の成長産業化の切り札として打ち出した。その柱は、全中が全国694の地域農協に実施している指導・監査権を廃止するというもので、全中について定めた農協法の規制を削除するなど関連法案を3月中に国会に提出する方針だ。
 安倍晋三首相は、農協「改革」を社会保障や労働規制など一連の「岩盤規制」改革の本丸と位置付け、1月16日には「断行する」と表明、全中に「脇役に徹して頂きたい」と踏み込んだ。全中の万歳章会長が前日の記者会見で、政府の農協改革の方向に対し、「唐突な提案がされ、理解できずにいる」と激しく反発したことに対する発言だ。


 所得倍増と言うが


 安倍政権の農協改革は、「改革」という名の農協解体論であり、全中のJA監査権限の撤廃の他に、@農協准組合員のJA利用制限A全農(全国農協連合会)の株式会社化BJAの総合農協からの撤退などがある。その是非を巡って推進派と反対派の激しい議論となっている。
 安倍首相や農水省などは、農業を成長産業にして2020年には農家所得を倍増させるための農協改革と言いながら、JA監査権権限の撤廃や准組合員のJA利用制限がなぜ農業所得の向上につながるのか、説明できないで困っている。総合農協からの撤退論は、農協事業と地域の結びつきを無視したもので、規制改革会議の決定を押し付ける「初めに結論ありき」と反対派の不満は大きくなっている。
 また、反対派は規制改革会議の動きについて、在日米国商工会議所が公表した「JAグループの組織改革意見書」と同一で、「TPPの先取りになっている。一体全体誰のための改革なのか」と政府・農水省に対する不信を募らせている。

 
 組合員は996万


 理解を深めるため農協の仕組みを整理する。農協は農業者組合員460万人、農業者以外の出資者である准組合員536万人、計996万人で構成され、全国の地域農協に加入している。農協は各エリアを中心に信用(貯金、貸付)、共済(生命、損害保険)、購買(農薬、肥料、農機具、生活物資)、営農販売(農業指導、農産物販売)事業を行っている。
 各事業には全国本部があり、それぞれの事業の計画、指導、とりまとめを行っている。信用の全国本部が農林中金、共済が全共連、購買と営農・販売が全農である。そして、これら全体の監査(指導、会計、農政部門)を全中が農協法、協同組合運動の観点から行っている。


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