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2015.02.17
安倍政権の農協改革(下)
地域との結びつきを壊す




 農協は過疎・高齢化の進む農村地帯で、ライフラインとしても大きな役割を果たしてきた。農村地域との結びつきが強過ぎるゆえに、弊害や改善すべき点が多いのも事実。解体論ではなく、農家・農村地域に根ざした農協改革であるべきだ。


 安倍首相や規制改革会議は全中の監査権撤廃について、「監査を公認会計士に任せることで全中の統制をなくし、地域農協が自由に経営して活性化し、自立させたい」と言うが、それは、協同組合を市場原理にさらすことになる。
 そして、@農家の所得増とどう結びつくのか、A農協の会計監査以外に業務実態から経営の在り方、統廃合など農家の利益を最優先に営農指導まである、B公認会計士に替えるというが、全中監査員も国家資格を持っているし、公認会計士も含まれる、という反論には明確に答えられていない。


 地方創生に逆行


 全農の株式会社化で独占禁止法が適用されれば、優遇税制が廃止される。その結果は農家の利益につながらず、改革の狙いは企業の農業市場への参入と言えよう。準組合員のJA利用制限も、農家所得は制限されこそすれ、向上につながらないことは明白だ。
 規制改革会議は、「農協は農産物品目ごとの組合に徹し、地域農協から手を引くべき」と総合農協からの撤退を主張するが、農産物や農薬、肥料などを扱う組織に特化し、消費物資の販売や金融部門からの撤退で農協と地域の結びつきを理解しない暴論だ。
 農村地域は過疎、高齢化が進み、人口減少が続く。大手金融が去り、郵便局も統廃合が進む中でライフラインを繋ぎ止めているのが農協。農協が地域のAコープ、農産物直売所、ガソリンスタンド、ガス販売、金融、保険、介護、セレモニー、病院、消防団、トラベル、学校給食、芸能、文化などの事業を行って地域を支えている。
 農協がなくなったら、住民は生活できなくなるといっても過言ではない。「安倍首相の言う地方創生に逆行する」と強い疑問と批判が出ているのは当然だ。 


 このような安倍首相の主張は、農協改革とは全く逆の農協解体論と言わざるを得ず、唐突な「監査権の撤廃」や「規制改革会議の改革論が在日米国商工会議所のJA改革意見書」と一致することなどを考えると、TPP交渉を強く意識していることは明白。強力なTPP反対勢力である農協や全中の影響力をなくしたいということだろう。 


 真の農協改革は

 もちろん、農協改革は必要である。
 あるべき農協改革は、@総合農協を守るA準組合員の発言権保障B農協組合長の定年制の確立と組合員選挙による選出C自民党一党支持の廃止と政党からの中立宣言D農家、農協職員の食糧・農業・農村政策の徹底研修E労働組合の認知・育成などを実施し、農協民主化を徹底することである。


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