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2015.05.19
新ガイドライン
地球大の武力による「平和」



 日米両政府は4月27日、新たな「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」に調印し、「歴史的文書」と自讃。安倍政権が強行を図る戦争法制の成立前に、その内容を約束したもので、憲法も国会も無視し、条約上の根拠もない暴挙だ。


 新指針は、78年指針の「日本有事」、97年の「周辺事態」対処をはるかに超え、地球規模の共同作戦のための軍事体制の構築・強化を明記している。その真意は、台頭する中国を封じ込め、世界各地への武力介入や「対テロ戦争」を日米共同で進めることにあり、安倍首相も「対中国」と公言してはばからない。


 虎の威を借りる


 日米によるグローバル安保の目標は、あくまで「米国による平和」を維持・強化することで、これに日本が参加して協力することによって「日米による平和」を演出したいというのが安倍政権の姿勢なのである。
 だが、それは米兵の犠牲を減らし、軍事費を節約したい米国には、自衛隊と日本国民の税金でその穴埋めができる構図である。2012年のアーミテージ報告で示された対日要求への満額回答であり、米側が歓迎したのは当然だ。
 同報告でもTPPの「安保上の価値」を強調していたが、首脳会談でもその言葉が用いられた。軍事的にも経済的にも米日で主導権を握るという覇権戦略である。この戦略に「切れ目なく」寄り添うことで、世界と中国に「日本の威信」を誇示する、まさに「虎の威」路線が安倍外交の正体である。


 憲法を換骨奪胎


新指針は、「安保条約の枠組みは変更しない」とか「憲法などに従って行う」と言うが、地球規模の共同作戦が「日本防衛と極東の平和と安全」(安保条約)を超え、「国際紛争での武力行使の永久放棄」(憲法9条)に違反することは明らかである。  今後、平時から有事まで利用可能な同盟調整メカニズムを構築し、共同計画を策定する。これには米軍と自衛隊を中核に政府の全関係機関が組み込まれ、その手順や施設、情報通信手段などの基盤も確立するという。
 その上で、「第三国への武力攻撃への対処」「海洋での日米のプレゼンスの維持強化」「武器等の相互防護」「弾道ミサイル対処」「船舶検査」「非戦闘員の退避」「米国の戦闘捜索・救難に協力」「島嶼奪回」「民間空港・港湾等の実地調査」「自治体の権限・能力、民間の能力の活用」「宇宙・サイバー空間での協力」「秘密保護での協力」「教育・研究交流」「三か国・多国間の防衛協力」などと列挙され、まさに全面的な戦争体制の構築・強化が企図されている。
 成立もしていない戦争法制を先取りし、成立を「国際約束」して国会に押し付ける手法の再現も許せるものではない。
 この夏、「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動」などの大行動で戦争法案を阻止しよう。



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