新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 道しるべ
  4. 2015.07.14
2015.07.14
骨太方針
国民生活を露骨にないがしろ
 

 安倍内閣が6月30日の臨時閣議で決定した「経済財政運営改革の基本方針」(骨太の方針)と新たな「成長戦略」(日本再興戦略)は、徹底的な社会保障切捨て・国民生活ないがしろの一方で、大企業は減税加速、軍事費は拡大の一途だ。


 小泉改革もかすむ


 予算編成や税制改定の指針となる「骨太の方針」は2020年度の「財政健全化達成」を目標に、16年度から18年度の3年間を「集中改革期間」に設定し、この間の社会保障費の自然増を9000億円から1兆5000億円を目安に抑制、年間3000億円から5000億円も削り込むという。
 これは、小泉政権時代の2200億円削減も顔負けの規模だ。骨太の方針はさらに19年度から20年度も毎年3000億円から5000億円の削減をうたう。
 その具体策として、公的医療や介護、年金、生活保護の「改革」を盛り込む。医療では、@75歳以上の患者負担の引き上げA入院時の負担引き上げB湿布などの保険外しC外来受診の抑制など国民負担増が目白押し。介護では、@利用者の負担引き上げA軽度者向けサービスの保険外しB介護費の高い市町村の保険料引き上げなどだ。年金は、@支給水準の引き下げ強化A課税の強化。生活保護では医療費などの切り下げ、といった方針が並ぶ。


 大企業と軍備優先


 骨太の方針・成長戦略では、このように国民生活に大ナタを振るう一方で、大企業の減税は加速を明記する。国・地方を合わせた法人税の税率を15年度の32・11%から16年度には31・33%に下げ、数年間で20%台にする計画を「早期に完了する」としており、国民生活を犠牲にして大企業を優遇する姿勢が露骨だ。
 税制と言えば、耕作放棄農地への増税もある。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が妥結に向けて大詰めを迎えるのをにらんで、「農地集約の推進」を掲げる。
 農水省は、使われていない農地を集めてやる気のある農家に貸し出す「農地バンク」を14年度に始めたが、初年度の目標達成は2割にとどまった。そこで、耕作放棄地に課税を強化する一方で、農地バンクに貸し出せば逆に減税することで農地集約を促進する方策を盛り込んだ。
 だが、耕作放棄地の多くは過疎化が進む中山間地にあり、悪条件の農地だ。農地バンクに登録しても借り手が見つかる可能性は極めて低く、無意味な施策だ。
 社会保障を切り捨て、農業分野ではトンチンカンな方針の一方で、安倍内閣は1053兆円の借金財政を尻目に戦争できる国作りへ軍事費は着実に増やす。欠陥輸送機オスプレイ17機を3600億円で米国から買うことに象徴されるように、「実効性の高い防衛力の効率的な整備」を協調する。
 こうした安倍政権の国民生活破壊の方向を監視し、反対の声を大きくすることが求められている。




 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ