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2015.08.18
厚木訴訟は最高裁へ
米軍機の差し止めなくして
 

 第四次厚木基地爆音訴訟は原告と国がそれぞれ上告し、最高裁で争われることになった。健康に被害を及ぼす騒音の元凶である米軍機の飛行差し止めは、控訴審でも認められず、住民の被害・苦しみは基本的には何も解決していない。


 二審の東京高裁判決は、自衛隊機の夜間・早朝の飛行差し止めを認めた横浜地裁判決を踏襲し、将来分の被害を補償するなど、踏み込んだ判断を示した。
 

 元凶が浮き彫りに


 判決後の報告集会で原告副団長の金子豊貴男さんは、「賠償については来年12月31日まで、結審した今年5月14日までの過去分の請求に加えて、私たちが求めていた将来分の請求も今回初めて認めた。画期的だ」と評価し、「こうした大きな前進は全国で爆音訴訟を闘っている仲間の活動もあってのこと。
 そして強力な弁護団の力によるもの」と述べた。そして、厚木基地爆音防止期成同盟委員長で原告副団長の大波修二さんは、「一部勝訴だが、根本的に米軍の飛行機に関しては判断していない。私たちを苦しめているのは米軍機だ。私たちの命・健康を蝕み、精神的苦痛、生活破壊を根本的に解決しなくてはならない。これから最高裁、さらには五次訴訟という形になっていく」と述べた。
 原告は控訴審判決で一定の前進を勝ち取ったが、日米安保条約に基づく地位協定の厚く高い壁に阻まれて根本的解決を手にすることはできなかった。判決が騒音被害の元凶を鮮明にしたのである。
 基地周辺住民による闘いは、今から40年前、1975年に12名の原告によって始まったという。現在、全国で7団体・3万6000余人の原告団が組織され、闘いを進めている。今回の厚木訴訟の判決で睡眠妨害が認められたことは、多くの住民の願いが長く苦しい闘いによってやっと通ったということだろう。


 身体的被害を認定


 被害の内容について判決は、「身体的被害そのもの」とは言っていないが、「厚木飛行場周辺の騒音レベルは一般的に身体的被害音の関連性が問題となり得るまでに至った」とし、「身体的被害音の関連性が問題となり得る」と述べている。
 一審判決は、「睡眠妨害は深刻なものであって、健康被害に結び付く」という認定をしていたが、「そこから一歩進めたと評価してもいい」というのが弁護団の評価だ。
 また、判決は基地に近付いてきた「危険への接近」について、棄却や損害賠償の減額になるという国側の主張を「3度の確定判決がありながら違法状態を解消していない」と損害賠償を左右することはないと国の責任を厳しく指摘した。
 体調を崩して欠席した第四次訴訟の藤田栄治団長は、報告集会に「最高裁の勝利に向けて万全の態勢を作り上げてほしい。併せて五次訴訟もみんなで準備してほしい」とのメッセージを寄せた。



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