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2015.08.25
刑訴法改悪法案
衆院通過しても、廃案へ闘う
 

 捜査機関による盗聴の大幅な拡大や、冤罪の温床となる司法取引の導入などを柱とする刑事司法改悪関連法案は一部修正の上、衆院を通過、成立の見通しになったという。極めて遺憾だが、成立したわけではない。諦めず、廃案へ闘う。
 

 刑事司法改悪関連法案は、昨年末施行された秘密保護法同様、戦争できる国への法整備の一環で、国民の権利や民主主義を破壊すると反対・廃案を求めてきた。秘密保護法が国家の秘密を暴く行為を刑事罰で禁じる一方、刑訴法関連法案は、国民を国家の監視下に置く内容を含んでいるからだ。


 捜査機関焼け太り


 そもそも今回の刑事司法制度「改革」は厚生労働省冤罪事件に端を発するものだが、取調べの可視化を刑事事件のわずか3%に満たない裁判員裁判対象事件に導入する代わりに捜査機関の大幅な権限拡大を図る方向となっている。まさに捜査機関の焼け太りと言わざるを得ない。
 とりわけ盗聴法の大改悪は、捜査機関の盗聴を原則自由化すると言うべきものだ。国旗国歌法、住基ネット法、盗聴法という極め付きの悪法が成立した1999年の通常国会を思い起こしてほしい。
 盗聴は、憲法が保障する言論・表現・出版の自由と通信の秘密を侵すと大きな反対運動が起き、与党は対象犯罪を薬物、組織的殺人、銃器、集団密航に限定、通信事業者の施設で第三者の立会いの下で行うように修正せざるを得なかった。ところが今回の改定案は、対象を窃盗や傷害に至る一般犯罪まで大幅に拡大、該当事件と関係のない警察官が立ち会って警察署で行うように捜査機関の使い勝手のいいものに変えようという代物だ。
 そして、「児童ポルノ」もさりげなく加え、公権力がその「製造・所持・運搬・提供・陳列」などを疑う人物の盗聴もできるようになっている。児童ポルノについては定義の曖昧さや、児童ポルノ規制に名を借りた言論・表現・出版の自由の侵害につながる懸念が指摘されている。


 枝葉末節の修正で


 司法取引については反対だった民主、維新両党と与党との修正協議で容疑者と無関係な事件は事実上取引の対象外とするなどの修正が加えられたが、肝心の取引協議の経過に関する記録・保管は「運用」を決めたに過ぎず、不明確だ。法案の根幹とは無縁、枝葉末節の修正で賛成に転じた民主、維新の罪は大きく、その責任は厳しく問われなくてはならない。


 日弁連執行部の罪


 さて、盗聴法の大改悪や司法取引の導入といった刑事司法制度の根幹に関わる法案が一括提案され、成立見込みとなったのは、日弁連執行部が「可視化」の一部導入に目がくらんだからだ。半分近い単位弁護士会が反対決議を上げるなど日弁連は事実上真っ二つの状態にもかかわらず、早期成立を請願した村越執行部はどうかしていると言わざるを得ない。



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