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2015.09.01
「番号制」の10月開始
問題が多過ぎるから延期を
 

 共通番号制度が来月始まる。国民を番号で管理する構想は、日本では1968年に始まり、02年の「住基ネット」導入を経て、いよいよ国民総背番号制度スタートだが、問題が多過ぎる。当面の混乱を避けるためにも実施を延期すべきだ。


 簡易書留で送る


 政府・総務省が「マイナンバー」と呼ぶ個人番号は、10月5日から番号の「通知カード」が、住民登録している全ての日本人と在留外国人に対して、5400万の世帯単位に簡易書留で配達される。
 政府は、267億円の巨費をかけて配達するというが、まず配達時に不在、引越しなどで住民票の住所と実際の住所が違う場合はざら、さらにDV被害者の場合、送付先変更の手続きをしなければ、DVの加害者側に届く恐れがある。
 また、住民票を移さずに故郷を離れている大学生には、親が再送しなければならない。その際、普通郵便で送り、アパートの郵便受けで盗難に遭うことも想定される。個人番号が盗まれたら、なりすましや個人情報流出、振り込め詐欺などの被害が出る恐れがある。何より、5400万通に上る簡易書留自体が空前で、郵便局の人手不足の問題を含め、番号カードの配布は大混乱が予想される。


 番号カード不要


 個人に12桁の番号、法人や団体は1桁の番号がすでに割り振られているから、受け取り拒否は意味がないとは言えるのだろう。
 一方で、希望者には来年1月から「番号カード」の発行が始まるが、申請方式で強制ではない。したがって、なりすましや個人情報漏えいにつながるなど危険で問題が多過ぎる番号カードの発行申請はしないことだ。共通番号はまず納税や福祉関係の手続きに利用されるが、番号カードがなくても何も困らないし、問題はない。通知カードで対応できる。
 会社員は納税手続の際、会社の人事課や給与担当者に自分だけでなく扶養親族の共通番号を伝えるようになるが、記さなくても税法上の罰則はない(国税庁は「法律で定められた義務だから、正確に記載して提出を」と呼びかけてはいる)。
 

 早くも利用拡大


 ところで政府は、番号制度がまだスタートしていないにもかかわらず、今国会に預金口座にも適用するなどの利用拡大法案を提出しており、法案は衆院を通過して参院で審議中だ。安倍内閣は、やがて社員証やクレジットカード、キャッシュカード、健康保険証などを番号カード1枚で兼ねるようになる「ワンカード」化を目論んでいる。
 個人番号の利用が、官民両分野で際限なく広がっていけばどうなるか。番号一つでその人の名前や生年月日などの基本情報はもちろん、資産や健康状態、思想傾向や趣味など全てが分かるようになる。そして、それが年金情報のように漏えいしたらどうなるか。恐ろしい事態を招来するのである。



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