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2015.09.25
改悪派遣法成立
経済的徴兵制≠フ一里塚だ
 

 戦争法案と並んで今国会の対決法案である企業の派遣受け入れ期間の制限をなくす労働者派遣法改悪案は9月11日の衆院本会議で自公両党などの賛成多数で可決・成立した。不安定労働のさらなる拡大の先には、“経済的徴兵制”がある。
 派遣法改悪案は9月9日、参議院を通過したが、施行日を当初の「9月1日」から「9月30日」に変更するなど修正したため、再び衆議院に送られていた。


 直接雇用規制潰し


 改悪法成立から施行までわずか20日足らずしかないのはわけがある。 10月から、違法な働き方をさせられている派遣労働者が望めば直接雇用しなければならず、その「抜け道」を作って企業の規制強化を潰すためだ。
 派遣労働者は正社員になる道を潰されたのである。期間制限を超えて派遣されていたり、業務外の仕事をしているなど、違法な働き方をさせられている派遣労働者が望めば企業は直接雇用しなければならない、いわゆる「みなし制度」は民主党政権時代の2012年に成立した労働者保護策だ。
 「みなし制度」は、08年の「年越し派遣村の教訓」から生まれたが、成長戦略の柱として労働者派遣法や労働時間制の見直しなど労働分野のさらなる規制緩和を掲げる安倍政権によって葬り去られた。
 派遣法の改悪はその第一弾であり、参院本会議の法案採決前討論で野党は「業界による業界の利益のため」(民主)、「いつでも、どこでも、いつまでも派遣先企業が派遣労働者を使い続けることを可能にする」(共産)と厳しく批判した。


 3年ごとに首切り


 だが、単なる「みなし制度」潰しではない。企業が同じ職場に派遣労働者を受け入れることができる期間を最長3年と限っているのは、同じ仕事をしながら正社員より低賃金で、雇い止めされやすい派遣労働者という「働き方」が止めどなく広がらないようにする規制だ。
 ところが、企業が働く人を最長3年で入れ替えれば派遣労働者を使い続けられるようにする今回の改悪は限りなく派遣労働者を増やすもので、1985年の労働者派遣法制定以来の大改悪。派遣労働者は最長3年で自動的に首を切られる運命に陥るのである。
 労働者派遣法は86年、ソフトウエア開発や通訳、秘書など13業務を対象にスタートした。96年に派遣対象を広告デザインなど26業務に拡大。99年、対象業務を原則自由化、26業務以外は派遣期間上限が1年。04年、1年を3年にし、製造業は1年を上限に解禁。07年、製造業も3年にした。
 そして今回の派遣野放し・首切り自由化法案は、安倍・自公政権が2度の廃案を経て執念深く成立させた。社会には不安定労働者が溢れ、自衛官が安定した仕事として注目される可能性は高い。戦争法を強行する安倍政権は、米国が導入している“経済的徴兵制”を目論んでいる。




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