日本をアメリカなど同盟国の戦争に巻き込む戦争法案は9月17日、衆院に続いて参院特別委でも自公など与党による暴力的強行採決の暴挙によって可決、19日未明の本会議で可決、成立した。同時に悪法廃止の闘いがスタートした。
衆院の強行採決に続いて参院審議が大詰めを迎えた8月30日には国会周辺や霞が関周辺で12万人の大集会、全国で1000カ所を超えるとされた大小の集会・デモが取り組まれ、「戦争法案廃案!安倍首相は国民の声を聞け!」の声が全国津々浦々で轟いた。
戦争法反対の世論が大きく盛り上がるなか、自公政権は衆院での三分の二の賛成による再可決・60「日ルールを見込んで戦後最長となる95日間、9月27日までの会期延長を強行して成立を目論んだ。
平和の党は死んだ
憲法改定を党是とする自民党、とりわけ憲法改悪に執念を燃やす安倍首相に多数決による強行はあっても、民主主義のひとかけらもないことは分かり切ったことではあった。
だが、平和の党を標榜し、創価学会を支持母体とする公明党は旗印をかなぐり捨て、日蓮上人の「権力に親近(しんごん)することなかれ」(権力から離れよ、馴れ合えば必ず魂をとられる)という教えも踏みにじって権力亡者の姿をあからさまにした。
一方で、公明党の無残な姿に反旗を翻して「戦争法案廃案」の集会・デモの隊列に元公明党副委員長の二見伸明氏や自治体議員、多数の創価学会会員の姿があった。そして安倍首相に抗議して自民党を離党した市議もいた。さらに、法案が成立すれば真っ先に「戦地」に送られる自衛隊員とその家族に動揺が広がった。
こうした動きが大きく広がり、与党中央・内閣を揺さぶるまでに成長すれば、戦争法廃案・内閣総辞職まで追い込めたが、そこまで至らなかった。自覚した市民一人ひとりの自発的な闘いが大きな広がりを見せた。そして、組織された労働者もOB・OGを含めて頑張り抜いたことを上げたい。組織労働者が60年安保、70年安保のように政治ストで立ち上がり、自発的な市民の闘いと結び付けば飛躍的な広がりをみせ、政権を根っこから揺さぶったことは間違いない。
最高裁の元長官も
特筆すべきは、内閣法制局長官経験者や元最高裁長官の山口繁氏も反対の声を上げたことだ。
山口氏は共同通信のインタビューに、「集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反と言わざるをえない」と述べ、政府・与党が1959年の砂川事件最高裁判決や72年の政府見解を法案の合憲性の根拠と説明したことについて、「論理的な矛盾があり、ナンセンスだ」と厳しく批判した。山口氏の発言は、戦争法違憲訴訟が全国で起きることが想定される中、裁判所の判断に大きな影響を及ぼすものとして注目される。
|