戦争関連法は、圧倒的な反対世論を押し切って数の暴力で強行された。今後の闘いをどうするか。まず、来年夏に行われる参院選で自公および戦争法に賛成した政党に徹底的な打撃を加え、護憲勢力を1議席でも多く獲得することである。
次の参院選から18歳以上が投票権を持つ。広汎な若者が今度の闘いに立ち上がったことが、日本の未来を明るくしている。戦争法反対の闘いが国民意識に大きな変化を生んだことは間違いない。
閣議決定前まで
元最高裁長官が「憲法違反」と断定する法律に対する違憲訴訟がこれから起きるが、裁判所の判断が注目される。その闘いを支援・応援していくことは言うまでもないが、最高裁の違憲立法審査を代替してきた内閣法制局が変質し、その任務を放棄した中で、最高裁の役割も変わってくると考えることができる。
明確な違憲立法を司法が見逃せば、三権分立のバランスは壊れ、司法の自殺とも言うべき事態となる。憲法の番人が自らの存在を否定するという憲法違反を犯すのである。
戦争法違憲訴訟とともに、大衆的な運動として戦争法廃止の具体的な行動が展開されている。この闘いでは、個別的自衛権の立場から「集団的自衛権行使のための戦争法は憲法違反」と明言する小林節・慶大名誉教授らとも引き続き共闘すべきである。
水島朝穂早大教授が言うように「とりあえず専守防衛の線まで引き戻す」ことが肝要だからである。専守防衛の線は、集団的自衛権行使容認の閣議決定前だ。
そして私たちの国には、納税の義務はあっても主権者としての権利を有しない数十万の在日の人々にも、日本が戦争する国になれば少なからぬ影響・被害が及ぶのであって、この人たちに思いをいたさなくてはならない。老若男女・幼青壮老が立ち上がった戦争法反対の闘いを、在日や障がい者といったマイノリティを包む広汎な運動にしなくてはならない。
立憲主義の認識
そして、戦争法反対の闘いはどのような成果を生み出したか。法案が衆院を通過した時点で法政大の杉田敦教授が長谷部恭男早大教授との対談(朝日新聞7月19日付)で次のように語っている。
「法案審議をめぐる議論の中で今回、立憲主義の意義や、民主主義の価値に対する理解が社会の中でかなり深まった。 憲法は権力を縛るためにあり、憲法に違反する法律をつくることは、政治体制の転換にも等しい問題なのだという認識が世論に浸透しています。これは非常に大きな成果で、今後の政治のあり方を根本のところで変えていくでしょう。
主権者が主権者であり続ける限り、勝負は続きます」 主権者が主権者であり続けるということは、主権者が命と暮らしと権利を守るために何をすべきかを自ら頭で考え、行動することである。
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