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2015.10.27
川内2号機再稼働
ウソと経済優先で塗り固め
 

 九州電力川内原発2号機が8月の1号機に続いて再稼働、10月21日には発電と送電を再開した。約2年に及ぶ原発稼働ゼロで日本の電力は十分足りていることが証明されており、事故の危険性を無視した経済優先の再稼働は許されない。
 川内原発は加圧水型軽水炉で1号機が1984年、2号機が85年に営業運転を開始、出力はともに89万kW。定期検査で2011年5月に1号機が、9月に2号機が運転を停止していた。新規制基準が施行された13年7月、原子力規制委員会に審査申請し、14年9月に全国の原発で初めて審査に適合した。
 

 根拠なき楽観論


 2号機が再稼働した10月15日、鹿児島県薩摩川内市の川内原発正門前や福岡市の九電本社前、東京・永田町の衆院議員会館前などでは住民や市民が怒りの抗議行動を展開した。
 川内原発はいくつもの危険性・問題点が指摘されている。まず、複数の原子炉が隣接して稼働する危険性だ。東電福島原発事故では1号機の水素爆発で全ての作業が一時中断を余儀なくされ、3号機爆発でも2号機の注水ラインが破壊されるなど、原発事故特有の相乗作用が事態を深刻化させた。
 しかし、原子力規制委員会の審査は福島原発の複合事故の深刻な教訓を十分に反映しておらず、個別の原発が新規制基準さえ満たしていれば事故にも対応できるというものだ。
 川内原発はまた桜島や姶良カルデラといった巨大噴火が懸念される火山が近くにあり、噴火による事故の発生や、火山爆発と原発事故という複合災害が起きた際の避難の問題がある。しかし、伊藤祐一郎知事は9月県議会で「避難する事態は発生しない」などと発言、根拠のない楽観論を振りかざしている。しかも、県が導入している「避難計画等調整システム」は実効性に疑念が指摘されている。


 世界一厳しい!?


 菅義偉官房長官は川内2号機再稼働の日の記者会見で、「原子力規制委員会が、世界で最も厳しいといわれる新基準に適合すると認められたものは、その判断を尊重して再稼働させていく政府の方針に変わりはない」と強調したというが、「世界で最も厳しい」は全くのウソだ。
 「ウソ」はいくつも指摘できるが、避難計画を審査しないことがある。米国ニューヨーク州のショーラム原発は完成したが、合理的な避難計画を立てられなかったため1hの電気を発電することなく廃炉になっている。
 原発自体の安全性能を高めることと、万が一の時の避難計画は車の両輪と政府関係者が言っていたこともあるが、いつの間にか避難計画は地元自治体に丸投げで、その合理性、実効性を審査しないということになった。
 原子力規制委は川内原発を含め3原発5基を「適合」とし、20基が審査中だ。ウソと経済優先に塗り固められた再稼働は許されない。




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