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2015.11.17
公文書管理法・情報公開法
知る権利保障の前提だ
 

 国民の知る権利に関わる公文書管理法、情報公開法、特定秘密保護法の3法を巡る問題は、民主主義・立憲主義に根本的に関わる。知る権利の完全な保障は、国民が権力を監視するために不可欠であり、特定秘密保護法はその否定だ。
 

 安倍内閣による憲法9条解釈の重大な変更について内閣法制局は、検討過程に関する文書を残していない。本紙前号の本欄で「内閣法制局は『公文書管理法』違反」と指摘した。
 公文書管理の問題では、民主党・野田政権時代、東日本大震災関連の議事録未作成問題がある。その事実が12年1月に判明して内閣府の公文書管理委員会は同年6月、災害時に政策決定を行う会議の議事録作成を義務付けるなど公文書管理指針を改定した。


 民主主義の根幹だ


 震災関連議事録未作成問題で当時野党だった自・公両党は厳しく政府を追及した。公明党代表の山口那津男参院議員は「重大な違法行為であり、国民や国際社会に対する深刻な背信行為。歴史の空白を作ってしまった」(12年1月の参院本会議)と厳しく批判した。他に8人の自・公議員が政府を追及したが、民主党議員が取り上げることはなかった。
 そして民主党政権を追及した自・公の9人の衆参の議員で、内閣法制局の今回の問題に関する毎日新聞の取材要求に応じたのは2人だけ。山口代表は事務所を通じて「今回は回答しない」と回答したという(毎日新聞11月8日付社会面)。
 公文書に関する2つの事件に関連して政府に対する与野党の対応を取り上げたのは、この問題が「与党だから不問」、「野党だから追及」という党利党略の問題などでは決してなく、公文書が「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法1条、法律の目的)だからである。


 181年も遅れて


 日本は、公文書管理の施設・国立公文書館を1971年に設立した。フランスでは1789年の革命の翌年、旧体制の文書を保管するとともに革命政権の公文書を系統的に保管し、公開するために国立公文書館が設立された。日本はフランスに遅れること181年、“公文書管理後進国”なのである。
 そして、公文書管理法が施行されたのが2011年。その10年前、01年に情報公開法が施行されている。本来なら、しっかりした公文書の作成・管理があって情報公開できるのであるから、順序が逆になった。「ない」ものは公開も、検証できないからだ。
 行政情報の保存と公開の仕組みが曲りなりにも整ったところで安倍内閣が成立を強行したのが、特定秘密保護法だ。
 政府が秘密保護をタテに国民に重要な情報を隠せば、権力は暴走し、先の大戦のように国民は塗炭の苦しみを味わうことになる。悲劇を繰り返さないために国民の知る権利の保障・情報公開はなくてはならないのだ。




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