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2015.12.22
今年を振り返る
破局の危惧と希望の兆し
 

 毎年年末のこの欄は「1年を振り返って」がテーマだが、筆をとってハタと考えた。「1年」ではとても間尺に合わない、数十年単位の歴史の曲がり角に立っているように思えるからだ。世は一体どこからどこへ向かおうとしているのか。
 

 テロへの反発からフランスでは極右が地方議会で大進出した。日本では橋下維新が勝利し、安倍内閣と自民党の支持率は再上昇している。80年前、ヒトラー政権は「ユダヤ人市民権剥奪」を決定し、翌年日本では「2・26事件」が起きた。そして共に無謀な侵略戦争で自滅した。
 歴史は同じことは繰り返さない。最初は悲劇だが二度目は喜劇とされる。だが憎しみの連鎖が拡大し、貧困と格差が耐え難くなっている今日、喜劇などと笑えない世界の破局に向かうのではと危惧される。


 歴史的愚行へ走る


 ファシズムと第二次大戦は悲劇だったが、その後世界は立ち直った。ファシズムの温床となった30年代世界恐慌のような形態の資本主義の矛盾の発現はしばし影を潜めた。ファシズムの排撃を国民的誓いとしたドイツや日本国憲法は、民主主義と平和の大きな力となった。
 問題を内包しながらも社会主義世界体制の外圧は、資本主義国に福祉国家的政策をとらせ、両体制間の平和共存政策も恒久平和への期待を抱かせた。
 しかし、社会主義体制の崩壊は皮肉にも資本主義の矛盾を一気に過熱させた。対抗勢力の弱体化の中で多国籍資本がグローバルな新自由主義的な搾取をほしいままにし、労働者の状態を悪化させ、福祉を破壊し、公共を利潤原理で塗りつぶした。その自家中毒が史上最長の長期世界不況となってリーマンショックを生んだ。中東への軍事介入と欧米社会の格差と貧困がもたらしたテロの連鎖は、核兵器が拡散した今日では不測の事態すら危惧させる。世界は底なしの泥沼に向かっている。ある意味、第二次大戦前夜よりも矛盾は深刻化だ。
 こういう中で安倍首相は「企業が世界一活躍しやすい国」へ法人税減税し、規制緩和するという。格差と貧困が耐え難く、公務員の割合は先進国では最低の社会をこれ以上どうしようというのか。
 憎しみの連鎖の中で希望の星となっている憲法9条を変えるなど、世界平和崩壊の歯止めを外す歴史的愚行だ。甚大な事故を起した原発を再稼働し、輸出するなど、地球破壊の時限爆弾を拡散するようなものだ。


 若者が立ち上がる


 戦争法反対・脱原発・辺野古新基地反対のうねりは、こういう悪しき動きが息苦しい世相となって身に迫り、若者はじめ多くの人々に感知され、行動に移され始めたことを示す。
 希望はある。人が歩いたところに道はできる。参議院選挙で反自公の共同候補擁立の声は各選挙区で実を結びつつある。総力を結集して勝利しよう。




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