朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)は1月6日、4度目となる地下核実験を強行した。事前の兆候も中国などへの「通告」もない新年早々の暴挙であり、世界に驚きと衝撃を与えた。私たちは、全ての国の核開発・実験に反対する。
自ら孤立の道を
今回の朝鮮の核実験は、これまでとは様相が異なる。第一に「人工衛星」打ち上げと連動したものでなく、第二に「水爆」または従来の原爆を強化したものと想定され、第三に友好国である中国にも事前に通知もなく、各国の予想を超えたものであることだ。
4回目の核実験の強行は、核軍縮と核不拡散の道を模索する世界の流れに逆行するものであり、決して許されるものではない。また、今回の核実験は朝鮮自らが孤立の道を選び、朝鮮半島問題の解決に道を閉ざすものである。さらに日米韓の軍事同盟をいっそう強固にし、軍事的緊張を加速させることにもなる。
核実験は非難、糾弾されるものだが、日本や米国はじめ各国が更なる「制裁」と「包囲」を表明している。また国連決議による国際的な制裁や包囲網を構築しようとしている。こうした手法で事態は解決に向かうだろうか。朝鮮が国際包囲網によって自ら胸襟を開き、核を放棄した上で対話に応じる可能性は極めて少ないことは誰もが認識しているはずだ。
敵視政策の転換へ
問題の解決に向けて、超大国・米国は度量をもってことに当たるべきだ。朝鮮半島は1953年7月の「休戦協定」により38度線を境に63年間も分断され、今に至るも戦争状態のままである。
朝鮮は休戦協定を平和協定に転換するよう長年にわたり米国に提案している。歴史的にも朝鮮半島の戦争状態の解決に向けた大きな役割が米国に与えられてきた。米国は武力を背景とした対朝鮮敵視政策の転換を図り、話し合いのテーブルを作るべきである。
それは六カ国協議の再開でも直接交渉でも構わないだろう。同時に朝鮮は核開発を中止し、自ら提案している平和協定の締結に向けた誠意ある交渉に臨むべきである。
日本は独自外交を
日本政府は、朝鮮の核実験に対し抗議と制裁を表明し、衆参両院で非難決議を採択した。だが、これまでと同じ対応の繰り返しで事態は打開できないことは明らかである。安倍政権は、朝鮮の核実験を利用した戦争参加への前のめりの宣伝や、在日の朝鮮人に対する差別的、排外主義的政策を即刻中止すべきだ。
アジア・太平洋戦争で唯一の被爆国となった私たちは、どの国の核兵器製造や核実験にも反対する。また、11年3月の福島第一原子力発電所の苛酷事故も経験している。被爆国・日本はすべての核兵器・核電力開発を廃絶する先頭に立つべきだ。また、米国の二重基準政策への追従や核の傘の依存を見直すべきである。
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