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2016.01.26
16春闘勝利へ
大幅賃上げは職場の闘いから
 

 安倍晋三首相は得意とする諮問会議を立ち上げた。「政労使会議」に見切りを付け、新たに「労」抜きで「未来投資に向けた官民対話」を開いた。政財界が勢揃いし、政権が「官製春闘」の旗を振り、「賃上げとベア」を要請した。
 安倍首相は、「三本の矢の政策によって、日本経済は完全に復活を遂げることができた。名目GDPは28兆円増え、500兆円を超えた。雇用は110万人以上増えた。企業収益も更新した。賃上げは17年間で最高。冬のボーナスは過去最高。日本経済は、デフレ脱却まであと一息まで来た。経済の好循環を実現できるかは、3巡目の賃上げと、そして設備投資の点火にかかっている」とまくし立てた。昨年12月24日の経団連での挨拶だ。


 ウソの経済学で


 さらに今年の年頭挨拶では、「経済のロケットスタートでデフレは脱却した」と言い切った。鼻息荒い首相のモチベーションの源泉は「ウソの経済政策」だ。GDPが28兆円増えたと言うが、その利益は大企業だけに集中。GDPの国際ランキングは3位でも国民1人当りのGDPは27位まで下がる。雇用が110万人増えたのは、正規が激減して非正規が増えて40%まで膨れあがって2010万人になったからだ。
 その非正規の民間平均年収は169万円(国税庁発表)、ワーキングプア状態になっている。厚労省が昨年11月の実質賃金を発表したが、「賞与が伸びない、支給されない」非正規労働者の比率が上昇し、給与額はマイナス0・4%まで落ち込んだ。首相が15春闘を「過去最高の賃上げ水準」と自画自賛した結末だ。
 アベノミクスの柱である「トリクルダウン」の冨の流れは大企業と富裕層までで、中小や労働者まで届くことはない。公的年金資金額の140兆円を運用して株価をつり上げ、企業価値を高めてきた。企業は内部留保を354兆円に伸ばし、投資家や経営者は高笑いしている。


 足元を見られて


 企業の大幅黒字など16春闘は、賃上げの好条件がある。安倍首相の手の平で先行き不安を受け入れる官製春闘をするのか、生活実態に根差した大幅賃上げを闘い取るのか迫られる。産別要求額は押し並べて15年より抑えている。連合はベア要求2%、金属労協もベア3000円と昨年の半分でしかない。
 労働側の足元を見た経団連は1月19日、経営労働政策特別委員会報告を公表した。労働側の要求が抑制的とみて、15年の実績を割り込むことを想定して、「ボーナスや手当を含む年収の上積み」を焦点にしている。安倍首相の「3年連続の賃上げ」に踊らされれば、「官製春闘」さえ不発に終わる。
 労働組合が「大幅賃上げ」「職場からの闘いの構築」を失えば、増税とインフレを超える賃上げは勝ち取れない。金属労協は集中回答日を3月16日に決めた。




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