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2016.03.22
衆院選挙制度改革
比例を基礎に民意反映こそ
 

 
 衆議院の「選挙制度改革」が議論されている。議論は定数削減の是非や数のありようが問題になっているが、そもそも民意が正しく反映される制度が求められているのであって、削減数がどうのこうのという矮小な議論ではないはずだ。
 


 最高裁は昨年11月、14年総選挙は一票の格差が「法の下の平等」に反する「違憲状態」と認定した。これを受けて大島理森衆院議長は議長の諮問機関である「選挙制度に関する調査会」の答申(1月14日)を各党に提示し、定数減の駆け引きが続いている。
 答申は衆院定数を10削減(小選挙区6、比例4)とした。また、小選挙区の議席配分はアダムス方式を採用し、10年ごとの国勢調査で見直すとした。これについて大島議長が各党の意見を聴取し、調整を進めている。


 身を切る改革!?


 一票の格差是正の訴訟は、そもそも「法の下の平等を欠く」として長年争われ、議席数と有権者数の比率を問題にしてきた。だが問題の核心は現行制度が、民意を正しく反映するかどうかだ。調査会答申も、各党の議論もこれに応えるものでなく、単なる党派の利害を念頭に入れた数合わせの議論に過ぎない。
 国会議員自ら「身を切る改革」とされる定数削減もパフォーマンスとわずかな国費削減に過ぎず、民意に応えるものではない。また、国会議員数が多過ぎるという議論もあるが、諸外国と比べて多過ぎるということはなく、定数削減で民意が反映し難くなる弊害のほうが大きい。
 国政に民意が反映されていないと多くの人が言う。安全保障法制や原発などは世論調査に表れる民意と国会が逆転している。安倍政権は暴走し続け、今や参院選後の改憲まで口にし始めた。こうした暴走を許す原因の一つに現行の選挙制度がある。小手先の議論ではなく、真に民意を反映した国会議員を選出できる制度に抜本的に改革することこそが必要だ。


 43%で議席79%


 1993年の第40回総選挙までは中選挙区制度であり、複数政党の候補者が当選し、多様な民意が比較的反映され、今のように特定の政党による議席独占はなかった。
 だが96年の総選挙から「小選挙区比例代表並立制」(小選挙区300、比例代表200)が導入され今日に至っている。その制度で行われた14年総選挙で自民党は小選挙区43%の得票率で議席獲得率は79%。他方、民主党は得票率22・8%で9%の議席しか獲得できなかった。小選挙区の「死票」は実に2540万票、48%に上る。
 300の各選挙区で1人を選出する小選挙区制度こそ諸悪の根源であり、安倍政権暴走の元凶である。様々な不祥事に現れた自民党議員の質の劣化も選挙制度と無縁ではない。
 比例代表制を基礎とした、民意が真に反映できる選挙制度の実現こそ求められているのである。




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