夏の参議院選に向けて自民党が公式サイトで「野党統一候補」=「民共合作」なる宣伝をしている。子どもだましでもあり、歴史に無反省でもあり、市民への恫喝でもあり、図らずも安倍政権の「売国」的正体を自ら暴露したものだ。
問題の文書は、自民党のサイトに掲載され、チラシも大量に配布されている。見出しに「野党統一候補」=「民共合作候補」とあり、「野党統一候補の実態は、民主党と共産党の合作候補」で「『理念なき民主党』と『革命勢力・共産党』の打算と選挙談合以外の何ものでもありません」と書き連ねている。
「合作」して撃退
想起するのは「民共合作」=「国共合作」。自民党はそう連想させようと意図しているのは間違いない。国共合作は1937年から45年にかけ、日本の侵略と戦うための中国の国民党と共産党の共同戦線だ。国民党と共産党は十年余も激しい内戦を繰り広げていたが、南京大虐殺のような日本帝国の皇軍による残虐非道に抗して両党は団結して戦い、ついに撃退したのである。自民党には、中国解放後に内戦が再開し、国民党が台湾に放逐されたことも連想させ、民主党(現、民進党)を揺さ振る意図もあるようだ。
自民党は、「国共合作」のレッテルを貼る意味がまるで分っていない。中国政府だけでなく台湾政府も、安倍政権は侵略の歴史を何一つ反省していないと不快に違いない。驕る自民党はアジアの民衆の気持に全く無感覚になっているのだ。
悪行に慣れた者は感覚も麻痺する。安倍政権は沖縄の権利を米軍に捧げ、TPPで農業も国民資産も何でも多国籍企業に売り渡している「買弁」政権。それだけではない。雇用破壊・低賃金と社会保障破綻のスパイラルで社会が成り立たなくなってきている。
安倍政権こそ日本社会を侵略し破壊するエイリアンだ。それを無意識に自覚しているから、「合作」を敵視しているのだ。安倍帝国の侵略軍を日本から放逐するために「合作」を全国に拡げよう。それも「民・共」レベルではなくすべての民衆の共同へ拡げよう。
サクラの質問書
さらに自民党ビラは言う。「自公の安定政権」か「民共合作の革新勢力」かの選択で、「わたしたちが戦うのは、ひ弱な野党ではありません。相手はその裏で確実に勢力を拡大しつつある共産党なのです」と。ご丁寧にも「破防法調査対象団体」問題で、サクラ質問主意書まで出させた。六十数年以上も昔の感覚で「反共」宣伝が通用すると思う時代錯誤にはあきれる。
ならば言おう。安倍首相の祖父がA級戦犯被疑者として巣鴨プリズンに収容され、獄中でも「聖戦の意義」を主張し続け、やっと公職追放が解除されたのも60年ほど前だ。もっともそういう血筋だから今時、「共産党=恐ろしい」などという構図が“受ける”と錯覚するのだろう。
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