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2016.04.19
甘利事件で強制捜査
あっせん利得罪の疑い濃厚
 

 
 甘利明・前経済再生相の現金授受問題で東京地検特捜部は4月8日、強制捜査に乗り出した。甘利事件をめぐっては「社会文化法律センター」の弁護士が3月16日、あっせん利得処罰法違反の疑いがあるとして東京地検に告発した。


 幕引きを許すな


 特捜部の捜査は、甘利氏側に現金600万円を渡したとされる千葉県白井市の建設会社や同社と補償交渉をしていたUR(都市再生機構)などで、甘利氏の元公設秘書からも任意で事情聴取したと伝えられる。元秘書は特捜部に600万円のほかに「800万円受け取った」と説明との報道もある。
 あっせん利得処罰法が2003年に施行されて以来、これまで国会議員が起訴された事例はない。安倍政権中枢の閣僚を務めた有力な国会議員である甘利氏が起した今回の事件を、うやむやな形で幕を引くことは決して許されない。
 夏の参院選や安倍首相が仕掛けると取りざたされる衆参同日選挙を控えて政治的幕引きを図る動きが強まることが懸念される情況で特捜部が強制捜査に乗り出したことは、甘利氏の証人喚問や参考人招致が未だに行われていないだけに、真相解明に向けて大きな一歩となる。
 政治と金の問題・不透明な政治・政治と行政の癒着といった古くて新しい問題を根絶するためにも甘利事件の徹底的な解明が求められており、検察による公明正大な捜査が期待されるのである。
 法律は、国会議員が請託を受ける、影響力を行使する、そして、それに対する報酬を受けることが犯罪の構成要件だ。建設会社は補償金上積みを図るために甘利議員とその秘書に働きかけ、それを受けて甘利氏側は補償金を出すURに働きかけている。

 秘書が前面に出ているが、甘利明衆院議員という政権与党の有力な国会議員の地位がその交渉の過程において働いたということは誰が見ても明らかだ。現金を渡す側は大臣と秘書の権限を期待し、大臣と秘書の側は見返りを期待して接触したのである。
 問題は、どのように請託が行われたかということであり、そして、どのような形で影響力・権限の行使がなされたのかということだ。甘利氏側が受け取った現金の性格、つまり、口利きに対する報酬と言えるかどうか、この3点の事実解明が求められており、捜査機関による解明が待たれる。また、現金授受とその時期、受け渡し場所についても明確になっていることがこの事件の特徴である。


 影響力の行使で


 あっせん利得罪は、あっせん収賄罪ではカバーできない部分、政治と金の癒着を断ち切るために制定された。職務権限のしばりはなく、国会議員の権限に基づく影響力の行使があれば適用できる。甘利議員の大きな影響力を行使して交渉に介入した事実があれば、あっせん利得罪に問われるのだ。




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