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2016.05.31
刑訴法等大改悪に続く
共謀罪法案の提出を許すな
 

 
 捜査機関による盗聴の大幅拡大や冤罪の温床となる司法取引の導入、さらに冤罪を生む恐れがある「部分可視化」などを柱とする刑事司法改悪関連法案が5月24日、衆院の再可決を経て成立した。捜査機関が次に狙うのは「共謀罪」導入だ。


 共謀罪法案は、過去3度国会提出され、廃案となった。
 共謀罪は、犯罪の結果が発生するどころか、その準備行為すらない段階で犯罪を行うことを合意しただけで処罰することを目的とするものだ。そのため、処罰対象が極めて曖味、かつ不明確である。
 過去に国会提出された法案は、「共謀」について犯罪の「遂行を共謀した者」と定めるだけで、内容や具体性の程度等は限定していない。


 罪刑法定主義違反


 その他の限定要件である「団体の活動として」「当該行為を実行するための組織により行われるもの」は、いずれも極めて曖味かつ不明確で、具体的な行為があって初めて犯罪が成立し、しかも、どのような行為が犯罪になるかを明確に定めなければならないとする罪刑法定主義等の大原則に反する。
 また、過去に国会提出された法案は対象犯罪を長期4年以上の刑を定める犯罪とし、その範囲は、窃盗罪、横領罪など特殊犯罪とはいえないものを中心として600以上の犯罪類型に及ぶ。その中には公職選挙法違反等も含まれ、表現の自由などの基本的人権を不当に侵害することも明白だ。


 改悪盗聴法を使い


 さらに共謀罪は私人の合意内容を処罰対象とするため、必然的に私人間の会話内容そのものが捜査対象となる。そのため、今国会で成立した警察による電話盗聴を大幅に拡大することを内容とする大改悪通信傍受(盗聴)法によって、国民の会話(電話、メール、SNSなどを含む)が捜査機関から監視されることになる。その結果、国民のプライバシー権が著しく侵害されることは必至だ。
 これまで政府は、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」を批准するためには、共謀罪法案の成立が必要としてきた。


 導入へのこじつけ


 しかし、同条約は共謀罪の創設まで求めてはおらず、締結国がそれぞれの国内法の基本原則に基づいて必要な立法等を行うことを求めているに過ぎない。そして、我が国には広範な未遂処罰規定及び一部重大犯罪に関して未遂前処罰を可能とする規定が存在することなどから、既に同条約の比準が可能な状況にある。
 つまり、同条約の批准と共謀罪法の制定は無関係だ。政府の説明は共謀罪導入のためのこじつけであり、共謀罪法を制定する理由はない。
 従って、共謀罪法案は提出する根拠がなく、まして成立させる理由などどこにもない。さらにその内容は、近代刑法の基本原則に反し、基本的人権を著しく侵害する危険な制度である。国会提出させてはならない。




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