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2016.06.07
オバマのヒロシマ訪問
問題は核兵器廃絶への道だ
 

 
 オバマ米大統領はG7伊勢志摩サミット後の5月27日、広島市を訪れた。被爆地ヒロシマで原爆投下を「謝罪」するかどうかが焦点化したが、問題は訪問を契機に米国が核兵器を世界から廃絶する道の先頭に立てるかどうかである。
 オバマ訪問を巡る問題で見逃してはならないのは、原爆投下に至る日本と米国の総括的な責任である。ヒロシマ・ナガサキで人類初の核兵器使用は絶対に許されることではない。
 だが、注意しなければならないことは第一に、天皇および軍部のポツダム宣言受諾拒否により、核兵器の使用まで戦争を長期化させた戦争責任。第二に、米国がポツダム宣言受諾拒否を口実に日本を人類初の大量殺戮兵器の実験の場としたことである。

 
 9条とプラハ演説


 このことを抜きに「抗議」や「謝罪」だけに矮小化するわけにはいかない。日本は国内外に多大な犠牲者を生み出したアジア・太平洋戦争の反省から、憲法9条を持つことにより戦争の反省を世界に明らかにした。オバマ大統領は09年4月のプラハ演説で人類初の核兵器使用の「道義的責任」を述べ、核兵器廃絶の先頭に立つ決意を明らかにした。
 だが、現在の米国は核軍縮と核兵器廃絶の先頭に立つ状態ではない。また、日本はアジア太平洋戦争の反省どころか、歴史認識の改ざんと憲法9条の空洞化、戦争する道を目ざそうとしている。
 ヒロシマ・ナガサキの被爆者の願いは核兵器の使用禁止と、二度と被爆者を生まないことであり、オバマ大統領の原爆投下の遺憾表明や、口先だけの謝罪ではないはずだ。問題は、超軍事大国の米国と世界で唯一の戦争被爆国である日本が、「核軍縮・核廃絶」に本気で取り組むことにある。だが、日米両国の姿勢は決して前向きではない。
 国連総会やNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議では、核軍縮に向けた様々な努力が行われてきた。15年4月に開かれたNPT再検討会議は、190の国が参加して4週間開かれた。日本が提案した被爆地訪問決議は、採択された。


 二重基準と抑止論


 しかし、核兵器の非人道性の問題で議論が進む中、エジプトを中心とした「中東の非核化構想」の提案と、そのための会議開催を巡って最終合意が得られず、会議は決裂した。米国やイギリスなどは、中東唯一の核保有国であるイスラエルに非核化が及ぶことを恐れ反対した。日本は、日米安保条約締結国として米国の「核の傘」にあることを理由として米国に理解を示した。
 ここでも日米両国の「二重基準」と「核抑止」論が支配した。今やるべきことは、国連安保理常任理事国5カ国の核抑止論放棄と核軍縮・核廃絶の道を求める運動をさらに強め、オバマのヒロシマ訪問をパフォーマンスで終わらせないことだ。




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