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2016.06.28
高浜1,2号機
はじめに20年延長≠りき
 

 
 関西電力高浜1、2号機(福井県高浜町)は稼働から40年を超えたが、原子力規制委は6月20日の会合で延長手続き期限の7月7日を前に最長60年まで運転延長を認可した。これに対し、延長認可を差し止める裁判が起きている。


 高浜1号機は1974年、2号機は75年に営業運転を開始した加圧水型軽水炉(PWR)で、出力はいずれも82・6万kW。福島第一原発事故後に改正された原子炉等規制法(13年施行)は、原発の運転期間を原則40年と規定するが、運転延長が認可されれば最長60年まで運転でき、高浜1、2号機は初のケース。
 

 駆け込み審査で



 2基は今年4月に通常の安全審査に合格したが、原子炉や原子炉建屋などの耐震性チェックは改修工事後に後回しとされ、新基準への対応も方針や計画が認められたに過ぎない。7月7日に運転満了を迎えるため、延長ありきの駆け込み・見切り発車的審査と言わざるをえない。
 運転延長には、さらに老朽化のチェックや耐震工事の計画の認可が必要だが、老朽化した原発では、原子炉の脆弱化や建屋強度の低下など検証が困難な課題も数多い。原子炉圧力容器は核分裂時に発生する中性子の影響で劣化(中性子脆化)するため、原子炉が冷えた場合に壊れやすくなったり、圧力に対してもろくなったりする。


 裁判に訴えても


 40年を超える稼働申請に対し、福井、愛知、岐阜、三重、京都、東京など14都府県の住民76人が4月14日、原子力規制委員会の延長認可の差し止めを求めて名古屋地裁に提訴した。老朽化した原発の安全性を問う訴訟は全国で初めてだ。
 訴えは、規制委は原発の老朽化に伴う問題や水素爆発などの事故の危険性を厳格に審査しなかったと批判。「法律は40年を原則としており、延長は安全性が確保できると認められた例外に限られる」と指摘した上で、2基について「40年ルール」を適用すべきとしている。
 さらに新基準が求めている可燃性ケーブルの難燃性ケーブルへの交換による安全対策も、全長1300qのうち交換は6割、残りは防火シートで覆うとされている。訴えは、規制委がこれを実証試験なしで認めたのは裁量権の逸脱だと指摘している。
 基準値震動も比較的新しい高浜3、4号機と同等の700ガルにとどまっている。今回の熊本地震が1580ガルを記録したことを考えると、極めて低い基準で安全が担保できるとは到底言えない。  
 

 原発ゼロを実証


 福島第一原発事故から5年、安倍内閣は国民の声を無視して、原発再稼働・運転延長路線を暴走しているが、原発ゼロでも国民生活に支障がないことは、これまでに実証済みだ。「原発に依存しない社会」の実現のために原発の廃炉を進めていかなくてはならず、60年への延長などとんでもない。



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