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2016.07.12
公文書管理法
ずさんな運用許さぬ改正を
 

 
  公文書管理法施行から5年、今年は見直しの時期に当る。昨年来、政府の重要な政策決定の記録が公文書として残されていない事態が次々と明らかになった。公文書管理のずさんな運用を許さない法制度の確立が、今こそ求められている。


 法制局が法違反


 安倍政権による戦争法制の強行と、それに反対する国民的な闘いの熱気冷めやらぬ昨年9月28日付『毎日新聞』朝刊は「憲法解釈変更 法制局1日で審査 過程 公文書残さず」とスクープした。
 集団的自衛権行使容認へ決定的な役割を演じた内閣法制局は、公文書管理法も無視した。「法の番人」として、憲法をはじめ法令の解釈の一貫性や論理的整合性を保つこと(横畠裕介長官)を任務とする内閣法制局が、歴代内閣とともに40年間も維持してきた憲法解釈を変更する経過を公式文書として記録・保管していなかったのだ。
 

 外交の公開問題


 また、先の通常国会ではTPP関連法案の審議でも交渉過程の文書を巡って大きな議論になった。
 民進党は、甘利明前TPP担当相とフロマン米通商代表の交渉の文書公開を求め、政府は、@会談内容は一部の幹部職員のみで情報共有し、記録は作成していないA交渉前後に交渉に係る論点等を整理した文書を作成しているB交渉に先立って主要閣僚会議を開き論点等を説明(文書は回収)、議論していると回答した。
 政府は4月5日の衆院TPP特委に表題と日付を除き黒塗りの「論点整理」の文書を提出、「他国との交渉上、不利益を受ける恐れがある」と黒塗りの理由を説明した。交渉の記録を作成していないが、幹部職員で情報を共有しているという文言から記録の存在が浮かび上がり、作成していないとすることで公開を拒絶する姿勢が見える。
 外交交渉の公開問題はあるが、主権者に誠実であるなら、政府には説明責任を果たした上で国会審議に臨む真摯な姿勢が求められる。TPP関連法案は秋の臨時国会で審議されるが、「由(よ)らしむべし知らしむべからず」は許されない。
 国民の知る権利に関わる公文書管理法、情報公開法、特定秘密保護法は、民主主義・立憲主義の根本に関わる。知る権利の完全な保障は、国民が権力を監視するために不可欠であり、特定秘密保護法はその否定だ。


 国民の共有財産


 公文書管理法のずさんな運用を許さず、歴史の検証に耐える記録を残すために法改正が必要だ。長野県短大の瀬畑源助教はその要点を、@文書作成義務の強化A内閣府公文書管理課の機能・権限の強化B特定秘密保護法に基づき特定秘密に指定した情報の明確化と指摘。
 さらに「究極的には官僚と政治家の意識の問題に行き着く。意識改革には長い時間がかかる。公文書は国民共有の財産であることを言い続けなければならない」と強調する。



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