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2016.07.26
「3分の2」の意味
「全く知らない」人が8割超も
 

 
 今回の参院選では、改憲勢力が衆議院に続いて参議院でも3分の2の議席を占める結果となった。初めてのことだ。9月末から始まる秋の臨時国会では憲法審査会で改憲論議が本格化するが、その前に参院選挙を振り返っておきたい。


 今回の参院選でとりわけ重要な意味をもった数字が74と53だ。74は改憲に積極的な非改選無所属ら4人を加えれば自公など4党が参院でも3分の2を獲得する数字。その裏返しが53。改憲に反対する非改選諸派1人を加えれば民進など4野党が3分の1を獲得する数字だ。 
つまり、「3分の2」が最大の争点だった。言うまでもなく、「3分の2」は参議院(定数242)で改憲発議に必要な議席数162。この重要な分岐点となる「3分の2」という数を有権者はどれだけ認識していただろうか。


 “ねじれ” なぜ


 高知新聞の記者2人が参院選も終盤に差し掛かった7月2日〜4日に、「今回の参院選は『3分の2』という数字が注目されています。さて何のことでしょう?」という質問を携えて高知市内を歩き、100人に聞いたら、全く知らないは5分の4超に当る83人、知っているは17人という結果だ。同じような結果は神奈川新聞の投票日前日の調査でも出ている。
 改憲勢力が3分の2議席を獲得したが、国民が「安倍政権下での改憲」を認めたのではないことを示す世論調査がある。毎日新聞の7月3、4日調査では、賛成28・9%、反対40・5%、分からない・無回答・どちらとも言えない30・6%と結果がなっている。共同通信社が公示前の6月12、13日に実施した調査でも順に35・9、48・2、15・9という結果だ。
 参院選結果は改憲が3分の2、世論は安倍政権下での改憲反対が多数とねじれたのはなぜか。安倍首相は公示前、「秋の臨時国会から憲法審査会で憲法改正を議論する」と言いながら、公示後は争点化を意図的に避け、公明党の公約は憲法に触れてもいなかった。与党の改憲隠しが奏功し、野党は争点化に失敗した。


 国民は知る義務


 次に、マスコミの責任だ。調査会社の集計で、NHKを含む在京地上波テレビ6局の東京エリアでの参院選関連の放送時間は、前回2013年より3割も減っている。とりわけ報道・ワイドショー系番組は6割減と減り幅が大きかった。
 そして、有権者・国民の責任である。自身と次世代の未来を決める選挙の意味を知り、投票する義務がある。作家の保阪正康さんは、「民主主義の後ろをファシズムという『弟』がついて歩いている」と言う。そして、「今はその『弟』が、民主主義が疲弊するのを待っている状態」とも指摘する。
 一定の成果を残した野党共闘の第二弾・東京都知事選挙が闘われている。ここで勝つことが、民主主義を疲弊させず未来を切り開く道だ。



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