安倍政権は、「働き方改革」を標榜し、「非正規の格差是正のための同一労働同一賃金」「長時間労働の是正」を掲げている。しかし、その内容たるや、過労死と格差を容認し、無権利労働を拡大する「働き方改悪」そのものである。
安倍内閣は昨年6月2日、「非正規という言葉をなくす」と高言し、「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定して華々しく打ち上げた。それは、「同一労働同一賃金の実現」、「長時間労働の是正」など、働く者の期待を誘うものだった。
過労死・格差容認
しかし、その内容は、「働き方改革実現会議」が今年3月28日にまとめた「働き方改革実行計画」で、過労死と格差を容認し、無権利労働を拡大する改悪「実行計画」であることが判明する。
「実行計画」をまとめる過程では、連合を「働き方改革実現会議」に引き入れ、労政審を骨抜きにし、春闘への口先介入で労働運動の分断を図ったことは銘記されるべきだ。
8時間以上は禁止
電通過労死事件を受け、安倍首相は「二度と悲劇を繰り返さない」と述べた。しかし、「実行計画」は、時間外労働と休日労働を合せて、「12カ月連続80時間・1年960時間」、「単月では100時間未満」の残業をさせることを認めている。
労災の過労死ラインは、「発症前1カ月間はおおむね100時間または発症前2カ月ないし6カ月間に1カ月当りおおむね80時間超」としている(厚労省基準)。現在は残業が80時間以下で労災が認定されているが、100時間では労災認定基準の後退ではないか。大臣告示による限度基準は、「月45時間、年360時間」と定めている。
しかも、「実行計画」は、問題になっていた自動車の運転業務、建設事業、医師や研究開発の業務は5年間の猶予等、別扱いで、インターバル規制も努力義務にとどめている。
労働基準法は、1日8時間以上の労働を禁止している。育児も介護もできない、「例外が当たり前」になっている社会がおかしいのだ。100時間の上限規制は、「政府・企業による殺人行為」と言わざるを得ない。
生産性の拡大だけ
「働き方改革」の目玉の一つである「同一労働同一賃金ガイドライン案」もまた、正社員と非正規労働者の格差を容認・固定化する内容になっている。
労政審は4月から審議を始め、これらを法案にするための作業に入っているが、労基法の労働時間規制をなくす「高度プロフェッショナル制度」の創設、裁量労働制の拡大、「解雇の金銭改革法案」とセットで進められようとしている。
安倍政権の「働き方改革」は、企業の生産性を上げることだけを目的としている。労働者の人権や生活、命や健康を奪い、破壊する。労働者にとって真の「働き方改革」実現の第一歩は、安倍政権を打倒することだ。
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