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2017.11.07
安倍自民党の欺瞞
「全世代型社会保障」のウソ
  

 安倍自民党は総選挙で、「消費税の安定財源を活用し、全世代をあまねく支える社会保障制度へ大きく舵を切る」と公約した。だが、各論は経済財政諮問会議の「骨太の方針」と変わらず、「全世代型社会保障の充実」と言える代物ではない。


 子ども支援も貧弱

 幼児教育無償化は、小泉進次郎氏らが提起した「こども保険」の焼き直しで、消費税増税後の2020年度から消費税を財源に幼児教育無償化を謳う。
 その内容は、@3歳から5歳までのすべての子供たちの幼稚園・保育園の費用を無償化A0歳から2歳児の所得の低い世帯に対して無償化だけ。保育料が高いのは、0歳から2歳児なのに、だ。また、児童手当や一人親家庭に支給される児童扶養手当の引上げの言及はない。安倍首相の「貧困の連鎖を断ち切る」発言はどこへいったのか。
 また、待機児童解消のため20年度までに32万人分整備すると謳うが、17年度末までに40万人分を整備するとした「待機児童解消加速化プラン」は実現できなかった。公立保育園でなく、施設や人員配置基準が質的に劣る小規模保育園や企業内保育所などを含めてでも、だ。
 幼児教育以外では、「真に支援が必要な所得の低い家庭の子供たちに限って高等教育の無償化を図る。このために必要な生活費をまかなう給付型奨学金や授業料減免措置を大幅に増やす」と謳う。「未来を担う子供たち」「人づくり革命」など言葉だけが独り歩きし、内実は貧弱だ。
 学校教育での給食費の無償化をはじめ、大学授業料は減免だけではなく大幅な引下げ、教育ローン型の有利子奨学金の廃止、給付型奨学金の拡大が必要である。安倍政権は、「未来を担う子供たち」と言うのとは裏腹に、抜本的な改善を行う意思はない。


 「メリット」がない


 「お年寄りも若者も安心して暮らし、活躍できる全世代型社会保障」というが、具体策は示さない。年金の「マクロ経済スライド」強化で支給額引下げ、医療・介護等の自然増抑制(1兆円必要なのに5千億円以下に抑制)で負担強化を目論む安倍政権が示せる訳がない。低年金者に消費税増税時に月額5千円支給を予定しているだけで、最低保障年金の創設等は考えていない。
  また、「少子高齢化社会の到来」と危機感を煽るが、政府・財界の責任には触れない。政府・財界一体で強行した労働法制の改悪で、正規労働者には長時間労働・過密労働を強い、過労自殺や精神疾患を多発させた

 一方、就職氷河期に非正規労働者を大量発生させており、現役労働者、とりわけ若者には「給付付き税額控除」の導入も検討すべきだ。
 安倍政権には、社会保障の充実をまともに実施する意思はない。市民と立憲野党には、貧困・格差をなくす具体的な政策を確立することが求められている。



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