全国の市民の期待を背に野党第一党となった立憲民主党の進路は、憲法を守り生かす政治勢力の将来に重要な意味を持っている。4分解した旧民進党の関係が不明なこともあったが、11月になって方向がうかがえるようになった。
市民が注目しているのは、2019年参院選・統一自治体選に向け、立憲民主党(立憲)の主体性が組織・政策両面でどう形成されるのかにある。まだ党大会も開催されていないので、枝野幸男代表の言動で忖度するほかないが、その限りでは市民の期待に添いつつあるようだ。
民進時代の残滓
『朝日新聞』(11月21日)によれば、枝野氏は「20年間気づかなかったけれど、国民は政権交代のための合従連衡を望んでいない。より良い政治をしてほしいというのが国民の考えだ」とし、小選挙区制で政権交代めざす「1996年体制の終わり」という興味深い指摘をした。
「二大政党」の片方として呉越同舟をしてきたため、憲法を左右する選挙で「小池自爆テロ」で敵前解体したことへの反省が伺える。
衆院の代表質問では、自衛隊加憲や戦争法反対の姿勢は明確なのは当然として、幼児教育無償化では、親の所得制限などで限定や差異をつけないことと、保育士の賃上げによる待機児童対策を先行すべきと求めた。
立憲が選挙で消費増税反対を公約したことと合わせ、自民党の財源消費税の御都合主義的無償化への対抗軸を示したと言ってよい。普遍主義での金銭給付と現物給付の充実という、現状ではバランスの取れた主張だ。
しかし、「綱領」「総選挙政策」ともに、格差と貧困に対し新自由主義への明確な対抗軸が示されているとは言えない。ベーシックインカムと内部留保課税までチラつかせた「希望」に後れを取らず、大胆な政策の策定が期待される。
なお「綱領」では「自衛力の整備」「周辺事態法の強化」「日米同盟を深化」など民進党時代の残滓があるが、市民の期待に背く。反戦運動の障害にならないよう見直されるべきだ。
共同運動起こし
枝野代表は、参院比例での「民進」「希望」との比例共同には否定的だ。愛知などを除き地方組織と自治体議員については民進党のままだったが、「年内には民進党議員を入党させる」意向を示した。
市民からの入党希望や自治体選挙立候補打診には保留していたが、受け入れる方向のようだ。後は参院民進党の議員がどうするかである。連合本部は地方と参院の「分裂回避」を求めたようだが、大衆的基盤のない政党などありえない。
立憲の組織確立に伴い、地域から社民党、新社会党、緑などと反原発、沖縄基地撤去、規制緩和・格差貧困反対の共同運動を起こし、参院選での共産党を含めた選挙区候補統一を準備し、改憲阻止の大きなうねりをつくりだしていこう。