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2017.12.26
この1年の政治
土台部分の変化≠ェ表面化
  

 安倍政権は総選挙勝利で改憲実現にひた走り始めた。そして、今年はその手法が厚みを増し、それはヒトラーの手法をも想起させる。しかし、改憲派も自らが生み出した雇用・福祉破壊、少子化など日本社会の崩壊に手を焼いている。


 朝鮮半島の緊張は激化し、国会は改憲派が8割を占めた。「小池劇場」をはじめ内外政治の報道はひどく刺激的だが、半数弱の有権者は棄権し、政治への冷静な判断力自体が麻痺したようだった。
 そして、安倍政権は憲法改悪も掲げて圧勝した。希望など補完勢力を含め改憲勢力はかつてなく強力だ。司法、行政、メディア、自治体にいたるまで威圧されるだろう。立憲民主党は躍進したが、社民、共産の後退で護憲勢力総体が伸びたとは言えない。


 官邸主導の賃上げ


 以上は政治の表層の動き。政治の土台部分では、まさに時代を画する変化と攻防が表面化した。その兆しは数年前からの「官邸主導の官製春闘」に現れたが、安倍政権は労働や教育、少子化対策などを本格化し始めたのである。「働き方改革」では、「同一労働同一賃金」や「非正規という言葉を日本からなくす」(安倍首相)というプロパガンダが展開された。
 これらが経団連などに譲歩を迫るかのように見えるのが、要注意。安倍の「同一労働同一賃金」は労働時間と賃金を切り離す賃金破壊だが、経団連は西欧型ではない「日本型同一労働・同一賃金」を対置する。官邸の賃上げ要求には、難色を示す経営者もいる。
 幼児教育無償化については政権の目玉と喧伝し、その際財界から3000億円を拠出させる芝居まで打った。同一労働同一賃金や非正規解消と、この無償化は若者対策や「女性活躍」政策とリンクする。企業のために法人税減税や規制緩和を強行する姿勢から、企業にも相応の負担を求めるポーズを強調し始めた。
 ひとえに改憲の国民投票に勝ち、その後、軍事大国として進む国民統合のためだ。かつて世界のファッショが「資本家の私益より公益」を高唱し、労働者を引きつけたことを忘れてはならない。


 対抗戦略が不明確


 しかし、自ら引き起こした雇用・家族破壊、福祉崩壊と少子化、そして民衆の分断に体制の糊塗策が対応できないことは、幼児教育無償化を巡る右往左往が示した。消費税増税になれば、税金の使い道への不公平感、年金を巡る世代間の反目など、社会の分断はさらに激化する。
 改憲勢力には、「自己責任」の理念と、福祉崩壊を家族責任に転嫁する「家族条項」新設を求める部分もあり、理念的にも齟齬を抱える。
 問題は、深刻な矛盾に体制側がポピュリズム的にせよ対応し、護憲勢力が普遍主義や個人単位の理念の具体化と、法人税を含む累進性の強化による財源捻出などの対抗戦略を明確にしきれないことにある。




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