明文改憲の攻防が激しさを増す年が明けた。平和と民主主義を脅かす改憲は、生活不安の進展と一体だ。新社会党は組織を挙げて憲法を守り、その精神と条項を活かして雇用と暮らし、そして社会保障の不安を一掃する運動を進める。
自民、公明、そしてそれを補完し、改憲をめざす維新の会と日本のこころで、衆参とも3分の2の議席を占める。その数を背景に、安倍首相は今年の通常国会に自民党改憲案を提出すると意気込む。
安倍政権は違憲の戦争法を合憲化するために、朝鮮半島問題の緊張を煽ることはあっても、その解消のために平和外交を進める気はない。それはまた、米国製の武器をさらに購入することに資することになる。
一方、朝鮮半島の戦争による国内の被害予測は、原発事故同様、想定しないという無責任さだ。
政権と世論のかい離
しかし、安倍首相が国会の多数に頼っても、安倍政権の下での改憲反対は、世論調査で賛成を大きく上回っている。
森友・加計疑惑も深まるばかりで、安倍総裁三選反対は過半数という調査結果も出ている。専権政治を断行している安倍政権の足元は、不安定であるのは間違いない。それは、昨年秋の総選挙の野党統一の分断に抗したうねりにも現れた。
従って、政党に単に期待するのではなく、政党に憲法を活かす政治を追求させる運動こそますます大切な時代になっている。そこではいわゆる政治的課題だけではなく、一人ひとりの暮らしを支える雇用と社会保障を向上させることが喫緊の課題となる。
政治・経済の両面で
安倍政権は自ら原因を作っておきながら、問題になると火消しを演じる「マッチポンプ」ではあるが、問題が明らかになり世論が湧きたつと手を打つ。奨学金問題しかり、幼児教育の無償化しかりで、全世代型の社会保障が必要と宣言する。もちろん、消費税10%引き上げの口実なのだが。
そこで問われるのは、護憲派、リベラルの陣営がどのような雇用、労働政策を出すのか、社会保障の不安から抜け出す政策を立てるのかであり、それを運動化するかである。
消費税が大企業や富裕層の減税分を穴埋めする庶民増税なら、消費税を下げて大企業や富裕層の税率を元に戻せばよい。正規職を望む人には正規雇用を保障し、最低賃金を1500円にして賃金のボトムアップを図る。年金減額を中止し、これまでの減額分を回復させる。国民生活から不安をなくすことで、景気の好循環が始まる。
自治体選・参院選へ
今年は沖縄県知事選挙を経て、来年の統一自治体選挙と参議院議員選挙に向かう。安倍政権は逆に改憲国民投票の年と位置づけよう。憲法と生活をかけた決戦前夜の年になる。 市民と野党の共同に力を注ぎ、仲間の輪を広げる運動に全力を尽くそう。