97兆7128億円の予算額は当初として6年連続で過去最大。17年度補正予算と一対で計100兆円に迫る。膨大な財政出動の目的は、経済の息切れを避けて国民の生活不満を安倍政権批判にさせず、憲法改悪へ突き進むことにある。
国債と消費税が柱
昨年度当初額を2581億円上回る予算を歳入で支えるのが、国債33兆6922億円の新規発行だ。17年度補正でも1兆1848億円の国債を追加発行、安倍首相の眼中に財政健全化はない。
歳入ではさらに消費税収が17年度当初比4200億円増の17兆5580億円も計上された。総税収の30%を占める。逆に法人税収は同2240億円減の12兆1670億円。長期の景気回復で大企業は大増益だが、法人税収は一向に増えない。大企業減税策のせいだ。直ちに税率を引き上げ、400兆円を超える内部留保金への資産課税を実施すべきだ。
2つの「革命」とは
歳出では「人づくり革命」と「生産性革命」が二大看板。しかし「人づくり革命」経費の大半は19年秋の消費税10%化の増収分を当て込み、18年度は補正を含め保育所等整備1696億円、給付型奨学金105億円など小粒。「生産性革命」では次世代技術支援で自動走行・人工知能・量子コンピュータ等へ資金投入。中小企業へのIT化補助金なども。だが三大都市圏環状道路整備2283億円を「生産性向上のため」と称するなど大型公共投資の看板掛け替えが目立つ。
軍事関連は聖域で
安倍政権下、軍事予算の増額が続く。防衛省分(狭義の軍事費)は6年連続増の5兆1911億円、17年度補正でも2345億円。現行中期防にない地上配備迎撃ミサイル「イージス・アショア」2基の配備を閣議決定し、当初+補正で計35億3000億円計上。敵地攻撃能力をもつ長距離巡航ミサイルの取得にも踏み込む。大学・企業等の研究を軍事につなげる「技術研究推進制度」は101億円で2年連続の100億円台だ。
海上保安庁予算は2112億円超で過去最大。17年度補正でも約301億円を組み、ヘリ搭載型巡視船(6500d)建造、新型ジェット機購入などを進める。これらは「尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備」などを名目とする。海保の第二自衛隊化が顕著だ。
宇宙が新戦域となる中、内閣府予算で情報収集衛星10 機体制へ620億円、準天頂測位システム7機体制へ153億3千万円を計上。共に自衛隊と日米軍事同盟を支える重要インフラ整備である。
安倍政権に対抗し
社会保障費は自然増を1300億円も圧縮するが、大企業の課税強化、不要な箱物事業や軍事新装備などを止めれば、社会保障費増を十分カバーできる。安倍政権に対抗し憲法を活かす普遍的な社会保障を実現しよう。