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2018.01.23
トランプの1年
災厄と混乱のトランプ政治
  

 アメリカのトランプ大統領が、1月20日に就任1年を迎える。その強権による威嚇と自画自賛の言動は、米国内だけでなく国際社会にも分裂と対立をもたらしてきたが、安倍政権だけは尻尾を振り続けている。トランプ言行録を検証する。米の大統領就任式は国民的祝賀行事だが、彼の相次ぐ暴言などで多数の民主党議員や有名芸能人も出席拒否。その後も身内の「ロシアゲート」や政権内の意見の対立で側近らの辞任や更迭が続出。マスコミとは敵対関係が続いている。


 「米国第一」の正体


 彼の「米国第一」の経済政策は、@国内投資促進による雇用創出、A国内企業への大減税と規制緩和、B米国に有利な2国間協定など。
 法人税を35%から21%に、富裕層の最高税率も引下げ、減税額は10年間で170兆円。またCO2や水質汚染、インフラ、金融などの規制は緩和、撤廃。株価は急上昇した。一方で社会保険や貧困層向け医療保険制度を敵視して撤廃や見直しを強要。共和党からさえ反対が出た。
 TPPからの離脱やNAFTAの見直し交渉、中国、日本、韓国、ドイツなど対米黒字国の批判などは、米国に有利な条件をもぎ取る狙い。


 差別と排外主義


 トランプ政治には深刻な差別思想が存在する。イスラム諸国からの入国禁止や難民受入れ停止の大統領令を連発し差止め判決が相次いだ。不法入国者の子らへの前政権の救済策も廃止、80万人の若者が強制送還に直面。
 「LGBTのために戦う」と公約したのにトランスジェンダーの米軍入隊禁止の大統領令(連邦地裁は差止め)。白人至上主義者らと反対派の衝突では差別への非難を回避。11月に英国の極右団体の反イスラム映像を拡散してメイ首相も抗議。訪英は中止に。
 正月早々、アフリカやハイチを「くそったれ国家」と呼び、全アフリカ54 カ国が猛反発、撤回と謝罪を要求中だ。メキシコとの間に「国境の壁」を建設し、費用はメキシコに払わせるという非常識な構想には今も固執。


 「力による平和


 外交・軍事政策でも強引な路線だ。年末発表の新安保戦略は「力による平和」を強調。中国を「戦略的競争相手」と、ロシアを「修正主義国家」とし、2月の「核体制の見直し」では中・ロ・朝への圧倒的優位の確保と低爆発力の小型核の開発など「多様な核戦力」を打ち出す。
 米朝の軍事的対峙と挑発的な“舌戦”では平和への扉を開かず、合同演習かミサイル・核実験かの構図だ。また、安保理決議違反のエルサレム首都認定で中東和平問題も泥沼に。
 その上で米政権は国防予算を1割、約6兆円増額し、環境や外交など非軍事費を同額削減。サウジや日本に巨額の武器を買わせている。
 トランプによる「災厄と混乱」の影響は、米国内でも世界でも大きい。



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