新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 道しるべ
  4. 2018.02.20
2018.02.20
名護市長選が示したもの
陰の勝者と陰の敗者


 「陰の勝者は安倍政権、そして陰の敗者はこの国の民主主義」―。『沖縄タイムス』の阿部岳記者は、名護市長選の結果について2月5日付の同紙でこう書いた。私たちはこの指摘の重さを、真正面から受け止めなくてはならない。


 市民が花道で送る 
 稲嶺進・前名護市長の退任式が行われた2月7日、市庁舎前には400人を超える市民が花道を作った。この光景は、住民自治を担う多くの自立した市民の誕生を印象づけた。 
 稲嶺市政の8年間は、辺野古新基地阻止を貫くとともに、米軍再編交付金に頼らず、市民の英知と自治の力による市政をめざし、全学校への冷房設置や校舎の耐震化、小中学生の医療費無料化などを実現してきた。 
 名護市長選は、住民自治や民主主義とは対極だった。渡具知武豊氏は、最大の争点だった辺野古新基地には一言も触れず、公開討論にも一度も応じなかった。
 一方で、期日前投票が投票総数の6割近くという異常さ、それは有権者の自由な意思の表明という選挙制度の根幹にも関わる。そして、稲嶺市政に対峙したのは、安倍政権そのものだった。



 容認すれば交付金 
 そもそも民主主義国家なら、少なくとも4年前の稲嶺氏再選、その後の翁長雄志知事誕生の時点で辺野古工事はストップしなければならない。安倍政権は「唯一の解決策」と工事を強行し、抗議活動には海保や県外機動隊までも投入した弾圧体制で応えた。 
 既成事実を積み上げ、後戻りできないと思わせ、諦めさせる。そして、現実を容認さえすれば、再編交付金の支給を過去にさかのぼって約束する。国策の前に抵抗は無意味と、あらゆる手を使った介入が、地方自治の懸命の努力を踏みつぶしていったのだ。
 一方で、辺野古工事が順調に進んでいるわけではない。進捗率は未だに数%に過ぎない。工事が違法行為の繰返しと積上げであることも変わらない。選挙結果による違法行為の免罪など許されない。 
 埋立て域に広がる琉球石灰岩地質の脆弱性や活断層存在の可能性は、埋立てそのものの是非を問うことにもなろう。 
 ゲート前と海上での闘いは、これら辺野古工事の現状と問題点を可視化するとともに、沖縄に心を寄せる国内外の人々をつないできた。
 西日本各地からの辺野古埋立て土砂搬出に反対する運動、本土機動隊の沖縄派遣の違法を問う住民訴訟、東京MXテレビなど沖縄ヘイトに対する闘いなど本土側の運動の広がりは、辺野古の現場がつなぐ人びとのネットワークがあって可能だった。



 11月には県知事選
 
 11月県知事選では、沖縄の民意と日米同盟が正面から対峙する。安倍9条改憲は沖縄の一層の軍事要塞化と一体に進む。沖縄との連帯を結び直すことができるか。問われているのは、本土側の英知を結集した運動だ。



 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ