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2018.03.20
続く生活保護費削減
貧困問題は他人事ではない
 参院で審議中の18年度予算案には、平均1・8%、最大5%の生活保護基準削減が盛り込まれている。今年10月から段階的に3回に分けて引き下げ、最終的には、国費で年間160億円、地方分を含めると213億円の削減になる。
 生活保護基準は、5年ごとに見直され、17年春から社会保障審議会生活保護基準部会で検討されてきた。
 12月14日に報告書が出されたが、都市部の夫婦と子ども2人の場合の13・7%を最大に、現行保護基準が上回っているという内容だった。 
 平均の6割が目標 
 これに対し、生活保護利用者を支援する団体等が抗議の声を挙げ、最大5%に圧縮したというのが政府の抗弁である。 
 そもそも、部会検討方法に問題がある。生活保護の捕捉率が20%程度といわれる中で、生活保護世帯も含む最低収入の層(極貧層)の消費実態で、基準を設定することである。 
 部会で岩田正美委員(日本女子大教授)らは、「保護基準は国民の平均消費水準の6割程度が目標であったはず。今の検証方式を見直す必要がある」と発言したが、報告書には反映されていない。「健康で文化的な最低限度の生活」と言える、現代的な生活水準の検討が必要だ。 
 矢継ぎ早に引下げ 
 自民党は、民主党政権時に生活保護バッシングを始め、安倍政権が誕生するや直ちに保護基準を引下げた。生活扶助基準を13年8月から15年4月までの3回に分けて平均7・3%引下げ、15年7月からの住宅扶助の見直し、15年11月から冬季加算の見直しと矢継ぎ早に強行した。 
 小泉政権時代に廃止された老齢加算(70歳以上)を含めると、今回の改悪で都市部の70歳以上の単身高齢者の生活扶助費は9万3850円から7万900円に、総額2万2950円( 24 ・5%)下がる。また、夫婦と子ども2人世帯では、22万50円から19万6010円に、総額2万4040円(10・9%)下がる。
 現在の生活保護の受給状況は、昨年12月末(3月7日発表)で、受給者数が約212万人、世帯数約164万である。高齢者世帯は、約87万人(約53%)で増え続けている。高齢者には、低年金・無年金の人が多くいるため、働けなくなって生活保護の申請をする人は増えこそすれ減ることはない。
 戦争などの被害者 
 生活保護を巡っては、ほんの一部の人を捉えて批判されることが多い。しかし、「不正受給額」は0・5%前後で、決して多くはない(ケースワーカーの事務処理の怠慢等が原因のものも含まれる)。筆者がケースワーカーとして21年間で会ったほとんどの生活保護利用者は、様々な理由で経済的に困窮した人たちだ(戦争と資本主義の被害者でもあった)。マスコミ等の悪宣伝に惑わされてはならない。人間として尊重されるために、生活保護制度の改善を目指していこう。

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