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2018.04.03
憲法改悪#ュ議
気を緩めず断念まで闘おう
 安倍晋三首相の年内「改憲発議」構想は風前の灯状態だ。しかし、改憲勢力の意志はいささかも揺らいではいない。安倍政権の森友疑惑での“窮地”を最大限生かして内閣を打倒し、ポスト安倍であろうが改憲発議自体を断念させよう。
 安倍首相の思い通りにいかなくなり始めた要因は2つ。1つは森友文書改ざんで一気に支持率が低下したこと。もう1つは南北、朝米会談実現に向けた朝鮮半島の緊張緩和の兆しだ。改憲勢力は、国民投票でひとたび失敗すれば数年間は立ち直れないことを自覚している。
『読売』論調の変化
 賞味期限が切れ疑惑の安倍首相に国民投票を任せられるだろうか。この間、改憲の世論誘導に総力を挙げてきた『読売』が、他紙に先駆けて「『森友』、改憲日程に暗雲」(3・14)とぶち上げたのは象徴的だ。安倍に「先走って年内発議など止めろ」と釘を刺したようにも、「ポスト安倍」に委ねるようにもとれる。『読売』は従来、9条2項を巡る自民党内の論議には口を出してこなかった。論理的整合性などなくとも、景気が好調で内閣支持率が高い間に、業界からメディア、町会に至るまで賛成投票に総動員できると踏んでいたであろう。しかし、大会前日、「2項維持」というずさんな安倍総裁案への自民党内の異論を重視する社説を掲げた。
 安倍首相は「北」のミサイルと核は「国難」と煽って抑止力強化を説き、辺野古新基地建設もJアラートも強行、「対話のための対話」を妨害しようと韓国に圧力をかけてきた。メディアも南北接近の平昌五輪を冷たく報じ文在寅大統領バッシングに加担したものの、危機が緩和すればリアルさを欠くことになる。
正面突破の可能性 
 安倍政権の危機は、息継ぎの時間となる。国民の判断力を麻痺させて急襲する戦法はひとまず通用しにくくなった。 
 しかし、改憲勢力は態勢を立て直す。内閣支持率は低下しても、立憲野党への支持が上がっているわけではない。安倍を石破茂=小泉進次郎ラインにすげ替え、論理的には筋の通った2項削除で正面突破を図る可能性もなくはない。
 「北脅威論」に代えて、軍事力で日本を圧倒する「中国脅威論」も再燃させるであろう。その方が空母の建造やミサイル防衛システムのためにはリアルだ。「予測不能」のトランプ外交次第では、「米国頼むに足らず」との自前核武装論も強まりかねない。
 「安倍政治を許さない」という世論が作り出す息継ぎの時期に、気を引き締めて臨もう。
 文大統領の「対話」の努力が「抑止論」の無力さを暴き、「武力で平和は守れない」ことを証明しつつある。一部の利益のための政治へ民衆が厳しい眼差しを向けている今こそ、血税を軍事産業に貢ぐための9条改憲であることを訴える好機だ。