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2018.04.10
陸上総隊と水陸機動隊
改憲と一体の陸自改編
  改憲の動きと一体で、安倍晋三首相がめざす「戦争できる国」づくりが自衛隊改編によっても進められている。3月27日に発足した陸上総隊と水陸機動隊は、安保法制・戦争法に基づき自衛隊と米軍の一体化をさらに進めるものだ。
 陸自の全国5方面隊の統一司令部「陸上総隊」や、米海兵隊の陸自版である「水陸機動隊」の創設などを盛り込んだ改定自衛隊法は昨年の通常国会で自公と維新などの賛成多数で可決、成立した。 陸自創立以来の大改革といわれるが、2013年に閣議決定された「中期防」で「部隊の迅速・柔軟な全国的運用を可能にするため」として、新設が盛り込まれていたものだ。
文民統制の形骸化 
 海自には自衛艦隊、空自には航空総隊という全国の部隊を束ねる組織があるが、陸自にはなかった。文民統制を形骸化させ、「旧陸軍の復活につながりかねない」という懸念があったからで、政府内でも何度か創設が検討されたが、見送られてきた。しかし、「戦争できる国」づくりを強行する安倍政権によって歴史の教訓がまたひとつ葬り去られ、三自衛隊の一体的な運用や、戦争法制の下で米軍との共同作戦体制も新たな段階に入る。
 陸上総隊司令部は東京都と埼玉県にまたがる朝霞駐屯地に置かれ、180人体制でスタート、防衛相直轄で運用する。そして、在日米陸軍との連絡調整を担う「日米共同部」を創設し、米陸軍キャンプ座間(神奈川県)内にある陸自座間駐屯地に拠点を置く。3自衛隊や米軍との連絡調整をしやすくする目的がある。
戦う軍隊へと変身
 米海兵隊をモデルに2100人規模で発足した水陸機動団は、相浦駐屯地(長崎県佐世保市)の西部方面普通科連隊を母体とする。将来は3000人規模に増やし、1個連隊を沖縄県に配備する構想もあるという。
 防衛省は「万が一島嶼を占拠された場合、すみやかに上陸、奪還、確保するための本格的な部隊」と説明するが、「敵地」攻撃を目的とした「殴り込み部隊」そのものである。
 部隊を運ぶ垂直離着陸輸送機「オスプレイ」17機は、米海兵隊のオスプレイが沖縄県名護市で墜落など重大事故を繰り返し、2月には陸自の戦闘ヘリが佐賀県神埼市の民家に墜落したため佐賀空港(佐賀市)への配備のめどが立たず、約1000キロ離れた木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備される見通し。52両導入予定の水陸両用車も、部品の枯渇など製造業者の都合で15両しか納入されず、上陸時に使う水陸両用車AAV7も納入が遅れているという。
 水陸機動団の上陸作戦能力は、憲法9条を踏みにじる海外での武力行使にもつながる。改憲の動きと一体のものとして強行されている「戦争する国」づくりに反対する世論を、3000万署名運動のなかでつくろう。