安倍内閣は4月6日、「働き方」関連法案を閣議決定し、国会に提出した。法案の根拠となる労働時間データが不適切だった問題などで裁量労働制の対象拡大の削除に追い込まれ、大幅に遅れたが、今国会での強行を目論んでいる。
政府は当初、高度プロフェッショナルと並ぶ規制緩和として裁量労働制の対象拡大も、法案に盛り込む方針だった。
ところが、裁量労働制を巡る労働時間の調査に不適切なデータが相次いで発覚した。野党や労働団体から厳しく批判され、政府は裁量労働制の拡大を法案より削除することを決めたものの、高プロ制度や月100時間未満を容認する時間外労働規制を法制化しようとしている。8時間労働制の破壊 高プロは専門職等、労基法上の労働時間・休息・休日・深夜労働についての規制の適用を除外しようとするものだ。
法案は高プロに加え、労使協定(三六協定)で定める残業時間を最長でも「月100時間未満、年720時間」とする罰則付きの上限規制や、正規・非正規労働者の不合理な待遇差を禁じる同一労働同一賃金の導入を柱としている。
しかし、月100時間未満、年間720時間は「過労死労災基準」であり、長時間労働の歯止めとはとうてい言えず、過労死を法的に容認するものと断じざるを得ない。 「同一労働同一賃金」にしても、欧州並み水準とは正反対で、「基本給格差容認」を崩さず、「労働時間ではなく成果で評価する新制度の創設」を盛り込むことに力点を置く。労基法改悪NO!を 安倍晋三首相の「働き方改革」の理念には、働く人たちの生活、健康そして命に対する配慮は微塵もない。過労死・過労自殺・過労事故死が絶えない現実にいかに対処するかという意識もない。
私たちは、先達が血と汗で勝ち取った8時間労働制を守るとともに、労働者とその家族の命と健康と生活を破壊する長時間労働を撲滅し、人間らしく働き希望を持って生活できる労働法制を実現すべく、全国各地で声を上げ、社会的なうねりを創り出していかなければならない。
1998年に労働基準法が改悪されようとしたとき、「北から南から労働者の声を国会へ」を合言葉に、「全国キャラバン運動」が文字通り各地をつないで展開された。 06
年には「労働時間規制の撤廃に反対し、人間らしく働くための労働法制を求める共同アピール運動」が取り組まれ、第一次安倍内閣に「ホワイトカラーエグゼンプション」導入を断念させた。
いま再び労働法制大改悪に反対し、「8時間働けば生活できる社会」実現へ、4月17日の「キックオフ集会」を皮切りに労組、市民運動、政党が連帯して「キャラバン」が北海道、沖縄から出発する。新社会党も各地で連帯し、キャラバン成功に努力する