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2018.06.26
米朝会談と我々の闘い
改憲派の巻き返し許さず前進
 米朝首脳会談(6月12日)は、朝鮮戦争終結と南北統一の可能性を切り開いた。「国難」をテコに改憲を目論んだ安倍政権には大打撃だ。しかし改憲派は陰湿な宣伝・扇動を開始した。気を引き締め朝鮮民衆の願いを実らせていこう。
 この間、安倍政権は平昌五輪以降の文在寅・韓国大統領の努力を冷笑し、トランプ大統領に「圧力」維持を進言し、首脳会談「中止」通告には「世界でただ一つ支持」を表明し、「米朝共同声明」が実現するとあわて醜態を世界にさらした。日本の民衆の名誉にかけて歴史的転換に向き合う姿勢を再確認しよう。

新装の改憲論が
 第一に、米朝会談の実現は「抑止力」の結果ではない。
 「抑止力」競争が限界に達した時、文政権が「対話」で風穴を開けた。韓国で保守政権が倒れ朝鮮半島で戦争はできなくなったことが、米朝の姿勢を根本的に転換させた。 
 「米朝共同声明」は「板門店宣言」を米国も認めたことの宣明だ。改憲派は「圧力こそ北を正す」と虚構にしがみつく。私たちは現実に立って「武力で平和は守れない」ことを訴えていこう。
 第二に、東アジアの軍事情勢の転換に対応した改憲派の動きに要注意だ。在韓米軍の縮小・撤退が現実味を帯びると、「パワーバランスが崩れ、日本の安全保障が危うくなる」との論調が強まる。「北のミサイル」の「国難」が「米軍撤退の国難」にすり替えられる。
 「朝鮮半島の統一で中国の影響が拡大し、38度線でなく、日本海が対中国防衛最前線になる」などという虚構の九条改憲論が強まる。米軍を日本に繋ぎ止めるための思いやり予算と辺野古新基地建設強行と並行し、肩代わりを求める米国から巨額の武器を購入する。
 自民党は6 月1日、「戦後最大の危機的情勢」として防衛費GDP比2%目標を示唆し、「敵基地攻撃能力保有の検討」、自衛艦の空母化などを安倍政権に提言した。 第三に、日本の責任だ。植民地支配で主権国家が破壊されたため、日本軍敗退後はソ連と米国の信託統治に一時委ねるほかなかった。
 その上、統一国家実現の土台として国連も確認した南北統一選挙も、米ソの対立で暗礁に乗り上げ、米占領軍は済州島蜂起などを弾圧して南の単独選挙を強行、南北分断は固定化した。

感覚から改めて
 そして、朝鮮戦争の悲劇だ。日本資本主義はこれを奇貨として「戦争特需」で再建、「高度成長」の出発点とし、日韓条約で南とだけ戦後処理をし、「北」への責任はおろか「従軍慰安婦」などへの責任も果たさず今日に至った。
 河野洋平元衆院議長も、「まず北に謝罪すべき」と明言した。「米朝会談」を小姑のように評論する、日本人の感覚から根底的に改めなければならない。