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2018.07.03
『骨太方針』決定
供給側強化で社会はスポンジ化
 政府は6月15日、第二次安倍政権が発足して6度目となる本年度の「経済財政運営の基本方針」(骨太の方針)と「未来投資戦略」等を閣議決定した。マスコミによる「財政再建=社会保障費削減待ったなし」の大合唱には要注意だ

 骨太方針では従来2020年度としていた国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化達成を25年度に先送りした。ただし、ここでもPB黒字化の前提が名目3%、実質2%の経済成長率を前提としている。この数値目標が達成されたのは、第二次安倍内閣発足以降1度しかない。国民を欺く空論はやめるべきだ。

生存の危機が進行 
 そもそも日本経済は労働法制の改悪や雇用の非正規化の進行、高所得者や大企業優遇の税制改悪などにより、国民の生存の危機が進行している。出生数は年々減少し、昨年は94万人台まで下がった。
 国内市場の縮小に合わせ、多国籍化した巨大独占資本は海外現地生産を拡大、国内雇用を削減し続けている。この流れを断ち切り将来への安心感をみなぎらせることこそ政治の責任だ。要するに再分配を強化し、消費喚起する施策である。
 骨太方針は来年10月の消費増税を明記した上で需要の反動減対策を講じるというが、増税は中止すべきだ。しかし、本年の骨太方針は真逆の方向性=サプライサイド(供給側)の抜本強化を宣言。労働力の面で女性や高齢者の労働参加の促進に加え、外国人労働者を呼び込みやすくする。低賃金労働者を増やし、競わせようというのだ。 骨太方針の生産性革命の記述の元になっているのが未来投資戦略( 以下「戦略」)だ。これはかつての日本再興戦略の衣替えで、近年はIT化やロボット化を無批判に賛美する。更にその元になったのは16 年1月に閣議決定された第五期科学技術基本計画だ。
 IT関連の用語に満ちたこの計画が以後の「戦略」に引き継がれている。本年版は「デジタル革命は世界の潮流」とし、時代に合せて生活・産業・行政・地域・人材などすべてが変わるべき、と煽る。 

超スマート社会!?
 先の第五期基本計画によれば、超スマート社会とは「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ…活き活きと快適に暮らすことのできる社会」とされる。だが、真実は世界中で進行する大リストラと中間層の没落である。 
 「戦略」決定会合で、未来投資会議構成員の金丸恭文氏は「20世紀の常識はむしろ非常識。法制度が日本人の本来有する創造性や変化対応力を阻害してはならない」と発言。真意のひとつは雇用の更なる規制緩和だ。 
 「戦略」はまた、中小企業の海外子会社保有率を高める目標数値を新たに打ち出した。このことも注目しておこう。