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2018.07.10
『働き方改悪8法』強行
暴挙と言わず何と言う
 政府・与党と一部野党は、6月29日の参院本会議で「働き方改悪関連8法」の成立を強行した。労働者の命と健康を脅かし、生活を破壊する法の施行を許さない闘いを労働者・労働弁護団・過労死家族会等と共に強めなければならない。

 安倍晋三首相は、法成立を受け、「戦後の労働基準法制定以来の70年ぶりの大改革」と胸を張ったという。「戦後レジームからの脱却」を唱える安倍らしいと言えばそれまでだが、新たな憲法違反(27条=勤労の権利)の許せない暴挙だ。不誠実答弁に終始 安倍首相が年頭会見で「働き方改革国会」と自ら命名し、臨んだ国会審議は異常続きだった。裁量労働制を巡るでたらめなデータで、財界が最も期待した裁量労働制は関連法案から外した。

 しかし、その後もでたらめな労働時間データが発覚するなど問題だらけ、加藤勝信厚労相は不誠実な答弁を続け、審議を強行した。安倍首相は過労死家族会との面会を避け、切実な訴えにも耳を貸さなかった。

 時間的な制約がある中で立憲野党の奮闘があったものの、審議は「高度プロフェッショナル制度の導入」に集中したきらいがある。過労死基準を超える「残業時間の上限規制」、「勤務時間インターバル制」の骨抜き、格差の解消には程遠い「同一労働同一賃金ガイドライン」、「有給休暇の義務的取得」、「中小企業の残業代割増率の先送り」など、課題は山積している。

 そもそも47項目もの付帯決議が付くようなものは法律に値しない。しかも、今後「裁量労働制」の再提案や「解雇の金銭解決」が提案されるのも必至であり、警戒を要する。

 一方、論議で可視化された課題について、労働運動サイドからも深刻な総括が必要である。「三六協定」があるにもかかわらず残業時間が青天井になっている実態があること、運輸労働者等の長時間労働が常態化し、残業なしに生活できないこと、中小企業には今でも労基法の原則が適用されていないことなど、労働基準法制の空洞化が明らかになった。


不十分だった闘い 
 しかも、「労働法制改悪阻止!全国キャラバン」や「雇用共同アクション」(全労連・全労協)、労働弁護団の取組みが行われたが、反対運動も残念ながら不十分だった。連合本部は「昨年の迷走(政府案の事実上容認)」があり、形だけの取組みに終わった。それ以外の労働組合の闘いも盛り上がったとは言えない。

 参院審議の最終番では、国民民主党の野党共闘からの離脱という問題も露呈した。今後の野党共闘に不安を抱かせる。

 今後、「最低賃金いますぐどこでも時給1000円!1日8時間労働で暮らせる最低賃金!時給1500円を!」めざして全国一律最賃を実現する取組みをはじめ、労働現場と地域での労働運動の強化に全力を上げよう。