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2018.08.07
“安倍一強”の暴走
国民と国会をないがしろ
  これが国権の最高機関か!と思わせる最悪の国会が閉幕した。法と事実ではなく、数によるおごりと横暴、選挙独裁≠ニも言える182日間をしっかりと記憶に留め、諦めることなく、安倍自公政権から国政を取り戻す闘いを進めよう。

 第196回通常国会は、昨秋の日米首脳会談で購入を約束したイージス・アショア等の武器購入が8割を占める軍事費2345億円を含む18年度補正予算をまず成立させた。これで昨年度の軍事費は5兆4256億円となり、日米一体となって東アジアの緊張を煽り、戦争を準備する体制を一段と強化した。憲法を足蹴にする安倍政権の暴走は、国会の論議を空洞化させた。森友・加計問題は公文書改ざんや隠ぺい、佐川宣寿前国税庁長官の偽証の疑いはもちろん、安倍首相の関与疑惑は深まるばかりだ。

労働時間規制を破壊 
 最重要法案と位置づけた「働き方改悪」法案は、データねつ造、立法事実のなさが明らかとなっても、残業代ゼロの法制化によって労基法の労働時間規制を破壊させた。派遣法同様、要件緩和によって労働者全体に適用してくるのは火を見るより明らかだ。小さく生んで大きく育てる目論みが露骨であり、経団連の提唱は「年収400万円で残業代ゼロ」である。

 また、過労死基準を超える月の残業上限を100時間未満としたことは、過労死認定をより困難にし、過労死を多発させるものに他ならない。キャンドル革命で政権交代させた韓国では、週労働時間上限を68時間から52時間に引き下げた。夕方を家族と過ごそうという韓国政権の発想とは、天地の差だ。非正規労働者や同一労働同一賃金の問題は放置され、労働者は利益を生み出す道具としか見ない政府・与党の非人間性がますます明らかになった。

大災害よりカジノ法
 そして刑法が禁じる賭博(カジノ)法も国会を延長して強行した。米国のカジノ企業が推進議員のパーティ券を買っていたことや、最悪の豪雨災害によって、死者224人、行方不明12人(6月22日時点)の西日本の緊急事態を横目に、多数で強行した。

 カジノの運営は、米国のカジノ業者に供されることになろう。これも米政権の後ろ盾で国内支配を強め、何としても憲法9条を改悪しようという安倍首相の執念のなせる悪業だ。

 安倍一強体制は、国会の国政調査権や行政監視、立法機能を著しくないがしろにした。メディアもジャーナリズムではなく、政府広報化してきている。その原因に小選挙区制や、政党交付金があるのは間違いない。

 そして、格差と貧困だ。社会の富を独占する少数者が政治支配を強め、それに抗すべき多数派は生活苦で政治は他人事とならざるを得ない。増大する不安はいら立ちとなり、極右ポピュリズムに合流しかねない。