73年目の敗戦の日・8月15日は、今年65年目となった朝鮮戦争の休戦の日・7月27日と重なっている。ヒロシマ、ナガサキと合わせ不戦と核廃絶を73年間誓ってきたが、今年は朝鮮半島の平和の実現に責任を持つ決意も共有したい。
南北分断の責任は
朝鮮戦争の完全な終結に責任の一端を負わない限り、日本の戦後は終わらない。「南北」の分断は、世界で唯一の「冷戦」の残滓だ。南北分断が、朝鮮民衆を、そして在日民衆を苦しめてきた遠因は、35年にわたる日本の植民地支配にある。
日本帝国主義は単一の国民国家を破砕した。国土どころか言葉を奪い、創氏改名すら強制した。日本の敗戦で生じた空白は、米ソの統治で埋める他なかった。
民衆による統一国家再建の機運は高まったが、植民地統治が育てた「親日」勢力が済州島弾圧などで抑えつけ、一方で米ソの駆引きは統一を困難にし、ついに朝鮮戦争という民族同胞が殺戮し合う悲劇につながった。
朝鮮特需で大儲け
朝鮮戦争の死者数は未だに詳細が不明だ。兵士だけでも米軍・南朝鮮軍で40万人、中国軍・北朝鮮軍で40万人、民間人は200万〜500万人と推測されている。そして「離散家族」が今なお1000万人という。
朝鮮戦争で日本は米軍の兵站基地として基地と物資と労力を提供、企業は特需でぼろ儲け、戦後「高度経済成長」は朝鮮民衆の血を吸って生み出された。
さらに1965年の日韓条約は、南北となすべき戦後処理を韓国とだけ強行し、当時の親米反北政権とはした金で済ませ、南北分断の固定化に加担し、民衆の対日賠償請求の責任から逃れ、軍隊「慰安婦」らの怒りを買って今日に至っている。
南北の自主的平和的統一は半島民衆の悲願であり、韓国では金大中政権など度々その努力が続けられてきた。しかし米日政権と韓国保守政権はその足を引っ張り、一進一退を繰り返してきたが、4月の南北首脳による「板門店宣言」で年内の「終戦宣言」で合意した。
加害の再確認こそ
「終戦宣言」が朝鮮の核だけでなく、半島全体の非核化と一体であることは言うまでもない。それだけに米朝協議は紆余曲折を経るであろうし、簡単でないのは当然だ。しかし、半島民衆の平和統一への切望が文在寅政権を支えている限り、危機を再燃させる愚行はありえない。
日本が側面からなすべきことは、明確である。核兵器禁止条約を批准し非核化への説得力を持つこと、世界が懸念するプルトニウムを処分し脱原発を急ぐこと、平和の本気度を示すために9条改憲をやめ、そして日朝国交回復と戦後補償を急ぐことだ。
これが、「戦後」を終わらせることである。73年目の8・15は、加害者として朝鮮半島に思いをはせ、その責任を再確認すべき機会だ。