安倍政権は、6月の「骨太の方針」で「新たな外国人材の受入れ」を掲げ、「新たな在留資格創設」を謳う。7月には「外国人労働者の受入れ基準や支援のあり方を検討する関係閣僚会議」を開き、来年4月から外国人就労の拡大を目指す。
過去最高!を更新
厚労省が1月26日公表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」(平成29年10月末現在)によると、外国人労働者数は127万8670人で、前年同期比19万4901人、18・0%増で、過去最高を更新した。
在留資格別でみると、「身分に基づく在留資格」が45・9万人(永住者やブラジル、ペルーなどの日系人)、「資格外活動」29・7万人(留学生のアルバイト等)、「技能実習」25・8万人、「資格専門的・技術的分野の在留資格」23・8万人、「特定活動」2・6万人の順である。
国籍別では、中国37・2万人=29・1%、ベトナム24万人=18・8%、フィリピン14・7万人=11・5%、ブラジル11・7万人=9・2%の順である。前年との比較で、伸び率が高いのはベトナム39・7%、ネパール31・0%である。
背景に人手不足!
日本は、単純労働を目的とした入国を原則認めてこなかった。しかし、農業、介護、建設、宿泊、造船の5業種については新たな在留資格を設ける方針だ。介護分野では、EPA(経済連携協定)に基づき東南アジアから、08年?17年の累計で約3000人が来ている。昨年11月からは技能実習制度の対象に指定。
しかし、介護労働者不足でこの3年間の特別養護老人ホームの整備は、計画の7割に止まるなど深刻だ。介護分野以外でも、少子高齢化のため労働力人口が減少し、3K職場(きつい・汚い・危険)や単純労働職場では人手不足は深刻。打開策として打ち出されたのが、「新たな在留資格の創設」による外国人労働者の受入れ拡大である。
劣悪!な労働条件
厚労省が6月20日公表した「外国人技能実習生の実習実施者に対する平成29年の監督指導、送検等の状況」によると、労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、5966事業場のうち4226=70・8%に上る。
主な違反事項は、労働時間26・2%、安全基準19・7%、割増賃金の支払い15・8%。技能実習制度は、開発途上地域への技能の移転を図り、経済発展を担う「人づくり」に協力する国際貢献と謳われているが、安上がり労働者として酷使されている。
権利保障が課題だ
政府は、秋の臨時国会に入国管理法改正案を提出し、入国管理局を入国管理庁に格上げする方針だ。だが、「移民は認めない」と言いながら、若い外国人労働者を5年間(更新で10年も可能)搾取・使い捨てにする危険性が高い。
外国人労働者の人権保障体制の整備こそ、求められているのである。