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2018.09.11
改憲国民投票
『来年の参院選までに実地』
   安倍晋三首相は自民党総裁選で、9条改憲の実現を強調している。自民党麻生派は即座に「19年夏の参院選までに憲法改正の国民投票を実施する」提言を首相に提出。首相は「考え方は全く同じだ」と応じた。その本気度は高い 

 共同通信が8月末実施した世論調査では、秋の臨時国会に自民党改憲案の提出に賛成36・7%に対し、反対49・0%。

リスクを承知で
 野党の反対を押し切って改憲発議を強行しても、国民投票で否決されたら安倍退陣だけでなく、次の改憲発議には出直し的な労力と年月がかかる。そのリスクを承知で国民投票に持ち込もうというのだ。改憲の旗を死守し、政権のレームダック化を避けるというネガティブな意図だけではない。

 安倍首相が賭けに出る条件もある。共同通信の同じ世論調査では内閣支持率が44・2%で微増、自民党支持率は2・2%増の43・8%。逆に立憲民主党支持率は初めて10%を割り8・8%に落ち込んだ。維新・公明など含めた改憲政党支持率は49・4%。総裁選で石破茂氏に圧勝して安倍9条改憲案支持で自民党を統制しようと画策。日本会議など極右勢力も、9条2項削除の石破案ではなく、安倍案全面支持で結束している。

 公明党は創価学会との関係で慎重なはずだが、沖縄知事選で辺野古移設反対の県組織をねじ伏せてても「平和バネ」は働かない。参院選前の国民投票だと、自治体選は憲法決戦の渦中となり公明党は死活問題だ。今から連立離脱をかけて発議に反対しなければいけないのに、党本部は「毒を喰らわば皿まで」の腹なのか。

 こう見てくると決して油断できない。 しかも、現行の国民投票法は権力側に圧倒的に有利。立憲民主党などが憲法審査会にテレビCM規制を提起しているが、自公の反対で持ち越した。安倍構想でいくと、憲法審査会でまとまらなくとも直接発議する暴挙も考えられる。

 CM規制ができても、国民投票期間前の規制に過ぎない。広告代理店電通が改憲派の側に立つ。公選法と違い、運動資金には制限も報告義務もない。買収・供応もやれる。テレビCMなどは氷山の一角で、ネットなどあらゆる宣伝媒体が利用され、著名タレントも動員し放題だ。NHKも、8月27日の桜島をバックにした安倍氏の総裁選立候補を実況中継。自民党は総裁選報道でマスコミに注文をつけた。 

過半数の賛成で
 そして過半数の賛成でいい。国政選挙並みの投票率として自民党各級議員や日本会議、神社本庁、町会などで有権者の4分の1を動員できれば9条は壊せる。

 参院選と切り離した単独投票だと投票率が高いとは考えにくい。投票に行く人は賛成派か反対派かと好奇の目で見られるかもしれない。油断大敵。まずは発議を躊躇させる世論をつくり出そう